内容説明
私たちの住まいや暮らしは、高度消費社会の巨大な市場システムに埋没してしまった。「住む」ことや「暮らす」ことは本来それぞれに自分流があり個性的であってよいのに、その主体である住み手と住まいの間には、代え難い個別的な関係を見い出せていない。では、主体性のある住まいとはいったい何だろうか。本書は生きる場所としての住まいを取り戻そうとする多くの事例を取り上げ、哲学的洞察も交えて多面的な視点から問題提起する。
目次
第1章 住まいの冒険―「おや?」の契機としての事象(住まいの主体性とは;住まいを主体的に考える)
第2章 住まい・家族・地域の変容(家族は虚像?新しい集住の行方から個と家族、主体と世帯、IとWeの揺らぎ;他人同士が共同する住まい;地域・まちの変容と主体形成;環境共生と主体性)
第3章 住まいをつくる技能・制度・文化(住宅生産における「関係」の行方;住宅生産における技能者の自己実現について;住宅の近代化にみられる伝統的住文化の継承の足跡;借家から持ち家への動きと主体性;マイホーム・持ち家は主流であり続けるか;住み手の変化に追いつけない建築法制度)
第4章 生きる場所をつくるということ―関係の総和としての主体性(主体性を求めて―生きる場所をつくるということ;西田哲学理解の手がかり―「作られたものから作るものへ」をめぐって;人間の存在と関係)
著者等紹介
木下勇[キノシタイサミ]
千葉大学大学院園芸学研究科教授。1954年静岡県生まれ。1984年東京工業大学大学院博士課程修了、工学博士。農村生活総合センター研究員、千葉大学園芸学部助手、助教授を経て、2005年より現職。1995年日本建築学会奨励賞(論文)、1997年日本都市計画学会石川奨励賞、2009年日本都市計画学会石川賞
内田青蔵[ウチダセイゾウ]
神奈川大学工学部建築学科教授。1953年秋田県生まれ。専門は日本近代住宅史。1983年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程満期退学。工学博士。東京工業大学工学部附属工業高等学校教諭、文化女子大学教授、埼玉大学教授を経て、2009年より現職。1994年日本建築学会奨励賞、2004年日本生活学会今和次郎賞、2012年日本生活文化史学会賞を受賞
松村秀一[マツムラシュウイチ]
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授。1985年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了、工学博士。東京大学工学部建築学科専任講師、助教授を経て、2006年より現職。ローマ大学、トレント大学、南京大学、大連理工大学、モントリオール大学、ラフバラ大学で客員教授。2005年日本建築学会賞(論文)、2008年都市住宅学会賞(著作)
宮前眞理子[ミヤマエマリコ]
一級建築士。東京造形大学非常勤講師。1951年生まれ。日本女子大学住居学科卒。アトリエエスパス一級建築士事務所主宰、NPO法人コレクティブハウジング社共同代表理事。高齢化、孤立化する家族や個人に対応する新しい居住形態であるコレクティブハウスづくりを実践し、さまざまな家族やコミュニティの問題に取り組み、地域や人を支援し、安心できる暮らしの場づくりやコミュニティの支援者や事業コーディネーターの教育に携わっている
村田真[ムラタマコト]
日経BP社建設局編集委員。1957年東京都生まれ。1983年早稲田大学大学院理工学研究科都市計画専攻修士課程修了。同年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。「日経アーキテクチュア(NA)」「日経リアルエステート・東京(NRE)」「日経ホームビルダー(HB)」などの編集に携わり、2006年より現職。まちづくり、住宅問題、マンション管理、不動産流通、建築関連法令・法務・職能、木造の各分野を主に取材・執筆・編集を行う。2008年より住総研清水康雄賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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