内容説明
本書『嶋田豊著作集』第1巻「文化の時代」には、以下の内容の著作が編纂されている。「(1)人間と文化について語る」には、おもに著者がそのときどきに“文化”や“その時代”について語ったものを収録した。“日常の言葉で哲学ができないものか”という著者の考えは講演や対談にその真骨頂をみることができる。「(2)学問とはなにか」には、1979年に発表された「学問とはなにか」を収録した。亡くなるまで大学という場に身をおいた先生は、つねに若者に対しての動向を見守り、若者に対するかぎりない励ましを惜しまなかった。これはその代表的な著作である。「(3)イタリアから、グラムシから」には、イタリアとアントニオ・グラムシについて書いたものを収録した。
目次
1 人間と文化について語る(現代日本の文化と人間;リリー・マルレーンの歌について;二宮金次郎から木枯し紋次郎への文化 ほか)
2 学問とはなにか
3 イタリアから、グラムシから(暮らしのなかのふれあい;日本そしてイタリア―出発の前に;モロ殺害とイタリアの危機 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
2
97年に亡くなった哲学者嶋田豊著作集1巻です。人間と文化のこと、学問とは何か、イタリアとグラムシのことの論考が載っています。特に文化論では、寅さんのこと、井上ひさしのこと、宮崎アニメのことについて論じられており、民衆の今ある姿=資本の論理に苦しみ生きながらも、そのなかにある文化の進歩性に自覚的になり寄り添うこと、共感共生の文化の必要性が、自己批判のうえで文化論を哲学として確立していくことが読み取れます。また、学問をするという意味についてもわかりやすく問いかけてくれています。多くの人に読んでほしい一冊です。2013/12/18