内容説明
海外文学としてタイ文学を読む。同時代の文学として生成する「今日のタイ文学」を俯瞰。作家・編集者・研究者との対話、多くの作品の渉猟から生み出された本書は、おそらく世界初の「タイの現代文学史」である。
目次
はじめに 脚注なきタイ文学に向けて(一〇〇冊の良書と「文学バカ」;日本におけるタイ文学;執筆の動機)
1 タイ文学小史(プラープダー・ユンの「新しい」タイ文学と、生きるための文学;「創造的」な文学;作家たちの活動と「個人」の文学)
2 二一世紀のタイ文学の潮流(「孤独」の文学;「政治」の文学;「個人」と「政治」のはざまの文学)
3 独立系書店と地方の作家(バンコクの独立系書店;地方の作家と書店)
おわりに タイ文学のこれから(若手作家の諦念;旅に出るタイ文学)
著者等紹介
福冨渉[フクトミショウ]
1986年東京都生まれ。鹿児島大学グローバルセンター特任講師。タイ文学研究者、タイ語翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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渡邊利道
5
現代タイ文学の通史的概説書。「生きるための文学」といわれ、社会的な不正を告発する戦後のタイ文学から、80年代に「個人のための文学」としてポストモダンなどの潮流が生まれ、さらにより内面的な孤独や、クーデター以後の閉塞した政治状況を反映した諦念の文学などの流れをそれぞれ代表する作家の代表作を引用しつつ語る。勉強になるし、面白かったが、日本語訳のある作品がどれでどこから出ているかという紹介も欲しかった。まあ自分で調べろよネットあるだろということかもしれないけれど。2018/03/30
natsumi
2
東北部と南部の歴史的・文学的共通点は、なるほどなーと。バンコクの書店をいくつか見て、なんとなくこの出版社が色々出しているなーとか思う体験があったり、プアチーウィットのことをsoi48関連で知っていたから「生きるための文学」の流れがわかったり。タイのことは色々な文脈に触れてつながりを知って徐々に全体像が見えてくる感じが面白いなあと思う。one mekong👁️2021/03/24
ソントン
1
東南アジアの文学の読書会があるため、予習で読んだ。 アトロクのタイ文学特集がちょうど良いタイミングであり、 福冨さんの話がとても分かりやすかったので。 韓国文学における斎藤真理子さんみたいなポジションになるんじゃなかろうか、福冨さん。2022/07/07
笠井康平
1
すっきりしたまとめで助かる2019/08/28