内容説明
分断の祖国と不安定な在地。明日の見えない世界で活路を求め、血縁や「幇」など様々なつながりをたぐりながら生きた日々。聞き取りと史料から暮らしや社会活動のディテールを掘り起こし、現代に至る人々の「根」を探る。
目次
第1部 日本華僑の戦後(華僑と日本の社会運動;大阪華僑史の再構築;在日台湾人と台湾)
第2部 東南アジア華僑の戦後(インドネシア;フィリピン;ベトナム)
第3部 太平洋を越えて(冷戦初期における上海商業儲蓄銀行の海外展開の紆余曲折;ペルー華僑の出入国問題と冷戦期に至る中秘関係)
著者等紹介
陳來幸[チンライコウ]
1956年神戸生まれ。1986年神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専攻は歴史学、華僑華人研究。現在、ノートルダム清心女子大学教授。兵庫県立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
17
日本や東南アジアを中心とした冷戦後の華僑華人に関する論集。珍しいところでは、短命に終わったベトナム共和国における華僑社会の実相を分析した岩瀬論文が興味深い。ジエム政権の華僑に対する強権的な政策の実態、クーデター後に状況が改善されることへの華僑社会の期待などが資料からも窺える。そして何と言っても戦後日本の華僑研究で、従来の台湾系と大陸系の対立といった、やや単純な構図に陥りがちな傾向に一石を投じた岡野翔太に注目。歴史の中での中華民国の位置づけの再考を迫られる。この人の単著が図書館に入るのを待ち望む。2024/04/08
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