内容説明
ethnic Chineseと英訳される華人だが、1896年から1909年のシンガポールを微視すると、それは単なるエスニシティの区分ではなく、ナショナリズムとともに生まれた自意識であった。今日グローバルに展開する中華系ネットワークは、この十数年の激流を知らずには理解できない。巨視・微視を交えた著者渾身の歴史ドキュメンタリー。
目次
第1章 一九世紀のシンガポールにおける華人社会の形成と発展
第2章 林文慶らの出現と辮髪切除活動に起因する騒動(一八九六‐一八九九年)
第3章 康有為のシンガポール来訪とその社会的影響(一九〇〇年)
第4章 孔廟学堂設立運動の展開(一八九八‐一九〇二年)
第5章 シンガポール中華総商会の社会的機能の形成過程(一九〇五‐一九〇八年)
第6章 「国語」教育を標榜する初等学堂の設立ラッシュ(一九〇六‐一九〇九年)
第7章 「満州人蔑視」言説の系譜と「革命派」の出現
第8章 中華民国期における展開
著者等紹介
持田洋平[モチダヨウヘイ]
1986年生まれ。2019年慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻後期博士課程修了。博士(史学)。専攻はシンガポール華人社会史、華人研究。現在、慶應義塾大学文学部訪問研究員、神奈川大学アジア研究センター客員研究員。主な論文として、「シンガポール華人社会の「近代」の始まりに関する一考察:林文慶と辮髪切除活動を中心に」(『華僑華人研究』9号、7‐27頁、2012年、日本華僑華人学会2014年度研究奨励賞(論文)受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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