内容説明
自己批判の連鎖や議論の封殺・放棄にも至った人類学の閉塞状態に向き合い、植民地主義の現場からもう一度ポストコロニアルの議論とその功罪を捉え直す。
目次
第1部 コロニアルからポストコロニアルへ(いびつな異文化接触としての植民地化;分離運動;独立運動と人々のまとまり;メラネシアのナショナリズム)
第2部 ポストコロニアル人類学を批判する(歴史とかかわる人類学;カストム論再考;本質主義批判を超えて)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
「インドネシアの強引な支配から独立を果たした東チモールの活動は、エスノナショナリズムなのであろうか? それは、ヴァヌアツにおけるサント島の分離活動と同じ性質をもっていると言えるのであろうか? 答えは、もちろん否である。共にエスノナショナリズムという言葉で表現してしまえば、東チモールは長年、他のインドネシア地域とは別の単独の植民地であったという歴史的事実を見過ごしてしまうことになる。ポルトガル領であった東チモールは、オランダ領であった他のインドネシア地域とは異なったまとまりを培ってきた」2021/12/21