出版社内容情報
昆虫の「匂いの世界」とその可能性を探る
昆虫は現在知られているだけでも約100万種以上、全動物種の約75パーセントを占めると言われます。昆虫が現在の繁栄を築き、進化の成功者になり得た理由は、外部環境を知るための嗅覚を研ぎすまし、匂いに敏感に反応し素早く行動する能力、独特の化学コミュニケーションの方法を発達させたことにあります。多くの昆虫にとって最も重要な「生存」「繁殖」「進化」は匂いなくしては果たせなかったと言えるでしょう。
本書では、ファーブル昆虫記でも有名なフンコロガシなどの昆虫を取り上げ、その匂いを感じる仕組みを説明し、匂いによって広がる昆虫の生きる「匂いの世界」を明らかにします。そして、地球環境や生物多様性を支えている昆虫の匂いによるコミュニケーション機能の農業への応用例なども取り上げています。
「香り選書」シリーズは…
香りや匂いに関する科学的知識をわかりやすく解説し、多くの方々に伝えることを目的とした、「理解しやすい香りの本」です。
内容説明
昆虫の匂いを感じる仕組みを説明し、匂いによって広がる昆虫の生きる「匂いの世界」がどのようなものなのかを、匂いと行動・生態との関わりに着目。特に、フン玉を転がすフンコロガシ(フン虫)という甲虫類がエサの匂いを敏感に感じる仕組みとその行動について、またフン虫の生態についても詳しく紹介した。
目次
1章 昆虫の進化と嗅覚
2章 匂いと行動
3章 フン虫(Dung beetle)の生態
4章 フン虫の匂い受容
5章 昆虫の鼻―触角
6章 昆虫の嗅覚中枢神経系
7章 昆虫と人間とのかかわり
著者等紹介
井濃内順[イノウチジュン]
1953年岩手県に生まれる。1983年筑波大学大学院博士課程生物科学研究科修了、理学博士。1983年筑波大学生物科学系準研究員。1987年ニューヨーク州立大学ヘルスサイエンスセンター客員研究員。1989年蚕糸・昆虫農業技術研究所主任研究官、室長。2001年農業生物資源研究所上席研究官。2006年農業生物資源研究所上級研究員。2012年農業生物資源研究所広報室長(現職)、上級研究員を兼職。1996年高砂研究奨励賞(日本味と匂学会)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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