内容説明
一般内科外来の患者と医師の診療談話データ(東京と大阪で採録)を対象に、計量的手法により各発話の全体的傾向、地域差、患者の男女差を分析。計量的分析のカテゴリー分類における3つの問題(コミュニケーションの多重性、多義性、非明確性)を指摘し、根幹にある言語イデオロギーおよび近代医療イデオロギーを抽出、質的手法の相互行為的社会言語学の談話分析を中心にラポール構築およびコンフリクト回避の構造に関し、コンテクストやプロセスも可視化できるケース分析試案を提示し詳述した。各分析手法の長短を十分掌握し、複数の手法を多元的に用いて研究精度を向上させる必要性を論じている。
目次
医療談話に関する先行研究および鍵概念(計量的分析手法;質的分析手法 ほか)
RIASによる分析(RIASの概略;RIASの目的 ほか)
RIASのカテゴリー化に対する批判的検討(カテゴリー化の理論的背景;コード化の方法論的不備 ほか)
RIASのイデオロギーに対する批判的検討(言語イデオロギー;医師中心の近代医療イデオロギー ほか)
相互行為的談話分析による試案(分析試案;相互行為によるラポール構築のケース分析 ほか)
著者等紹介
植田栄子[ウエダテルコ]
1981年上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業、三菱商事勤務を経て、1990年国際交流基金日本語教育専門家としてタイ国立カセサート大学赴任。1994年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻修士課程入学。1996年修士号取得(学術)、同博士課程進学、同年よりロータリー財団奨学金を得て米ジョージタウン大学大学院博士課程社会言語学専攻留学、その後東京大学総合文化研究科博士課程満期退学。2006年了徳寺大学専任講師、2007年准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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