内容説明
本書では、1980年代から2000年初頭までに文書として提示されたオーストラリアの言語政策を中心に、その政策策定の経過を追い、特に教育に関するところに焦点を当てている。これらの言語政策について包括的に記述すると同時に、学校の中やコミュニティに生きる人々のさまざまなことばへの思い、それらの人々をつなぐ力に光を当て、それによって何が起きてきているのかを見出そうとしている。そして、政策を動かす背景となる社会の態様や言語・文化観との相互作用についても考察を行っている。
目次
第1章 オーストラリアの言語政策の社会背景―多文化主義政策
第2章 多言語教育の推進へ―「言語に関する国家政策(NPL:National Policy on Languages)」(1987)
第3章 英語重視への傾斜―「オーストラリアの言語・リテラシー政策(ALLP:The Australian Language and Literacy Policy)」(1991)
第4章 アジア重視政策の影響―アジア言語文化特別教育プログラム(NALSAS)(1994)
第5章 言語政策が学校教育現場に及ぼす影響―ニューサウスウェールズ州のLOTE教育調査(1999‐2000)より
第6章 異文化言語学習推進の動向―「オーストラリアの学校における言語教育に関する国家声明と国家計画」(2005)
第7章 先住民言語をめぐる状況
第8章 ニューサウスウェールズ州の先住民言語政策―急展開のプロセス
第9章 ESL教育と言語サービスに関する政策
第10章 アメリカ合衆国の言語政策との対比から
終章 研究のまとめと日本の言語政策への課題
著者等紹介
松田陽子[マツダヨウコ]
神戸市生まれ。兵庫県立大学経済学部教授。大阪大学大学院文学研究科修士課程(日本学専攻・社会言語学)修了。文学博士(大阪大学)。オーストラリアのアデレード大学にて日本語教育に従事。関西外国語大学留学生別科を経て、神戸商科大学(現兵庫県立大学)に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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