内容説明
植民下のインド、独立後のインド。そして、世界へ羽ばたくインドの現在を追う。40年以上にわたり研究活動を続け、インドの歴史、現在に至るまでの詳細な社会形態を記した1冊。B・Gティラク、ガンディー、ネルー達の活動をはじめ、複雑なカースト制度、反英独立運動、世界で活躍するインド人の紹介は本書のみどころである。
目次
第1部 抵抗するインド人(現代インド社会の変容;インド民族運動と国民会議派;第二次大戦期のインド民族運動と農民―サーターラーの「プラティ・サルカール」運動;ゴア解放運動史 一九四七~一九六一年;マハーラーシュトラにおける不可触民解放の思想と運動)
第2部 世界に羽ばたくインド人(インド洋世界に広がるインド系社会;東アフリカにおける「インド人問題」―一九二〇年代のケニアを中心に;インド系南アフリカ人の苦難―その抵抗と妥協;カリブ海世界における「東インド人」社会―とくにトリニダードを中心に;インド人移民と宗教―グジャラーティー移民社会とスワーミーナーラーヤン教団)
著者等紹介
内藤雅雄[ナイトウマサオ]
1940年、福井県武生市(現在越前市)生まれ。東京外国語大学インド・パーキスターン科卒業。東京大学大学院人文科学研究科、印度哲学専攻修了。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、専修大学文学部教授を経て、東京外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
著者の40数年に渡るインド研究の成果物。第一部は植民地下および独立後のインド人の大衆運動と思想の分析。第二部は世界各地のインド人移民社会の形成過程の叙述。特に注目したのは第二部の南アフリカのインド人移民について概観した章。インド系住民の間にも様々な文化的背景、経済的、階層的利害が存し一枚岩ではない中で、南アにおける「被抑圧マジョリティの中のマイノリティ」と言われたインド系コミュニティがどのように形成され、アパルトヘイト体制の下でいかなる自己主張を行ってきたのかが描かれる。ここは大変興味深い。2021/02/10