内容説明
抑圧されたインドを導く男、ティラク。本書は反英運動を開始し、全インド規模へと発展させた指導者、B・G・ティラクの真実を追求する。ティラクの活躍に触発されてガンディーやネルーが登場し、イギリスからの独立につながる。インド史にとって最も重要な部分を切り取った1冊である。
目次
第1章 一九世紀マハーラーシュトラ社会とティラク(イギリス支配の確立とマハーラーシュトラ社会;ティラクの思想形成;ティラクと初期インド国民会議派)
第2章 二〇世紀初頭のインド民族運動とティラク(インド総督カーズンの政治体制とティラク;ティラクとモーレー・ミントー体制;ティラクにおける民族主義、民主主義、スワデーシー思想;会議派の分裂とティラク)
第3章 近代から現代への転換とティラク(ティラクと会議派の大衆化;ティラクと大戦期・大戦後の国際関係;ティラクと一九一九年インド統治法体制)
補論 B.G.ティラク研究の動向(インド人によるティラク論;アメリカ人研究者のティラク論;ソ連研究者のティラク論;補論のまとめ;補論“注”)
付録 インド社会の歴史的変化
著者等紹介
内藤雅雄[ナイトウマサオ]
1940年、福井県武生市(現在越前市)生まれ。東京外国語大学インド・パーキスターン科卒業。東京大学大学院人文科学研究科、印度哲学専攻修了。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、専修大学文学部教授を経て、東京外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mittsko
6
内藤先生はガンディー研究の「総仕上げ」として『ガンディー』(明石出版)上梓、そのわずか二年後、ご自身の修論の主題であったティラクを評しなおす本書を刊行。もちろん日本語初の評伝。ガンディーの陰に隠れ、日本では一般に知られていないが、現地インドでは超有名人のティラク。インド大反乱後の民族運動形成期から、ガンディー主導の華々しい反英運動期とのあいだ、移行期を画する人物のひとり。内藤先生がじりじりと書き上げる、この間のインド民族運動史の細部とともに、こうして日本語でも読めるようになったのは、喜ばしい限り!2020/02/20