内容説明
ポーランドにはナチスがただユダヤ人を殺す、それだけのために建て、計画が終わったら事実を隠すために、全てを取り壊した絶滅収容所があります。彼らは、そこで200万人のユダヤ人を殺しました。このひどい歴史がいまだに広く知られていないのです。ぜひ、案内したい。一緒に来てください。ユダヤ人絶滅収容所の真実。
目次
第1章 ここで何があったのか(最初の現場;よみがえる記憶 ほか)
第2章 最終解決とラインハルト作戦(ヒトラーの意で;異常なほどのユダヤ人嫌悪 ほか)
第3章 博物館・展示室案内(日本人学校の教師が;初めての訪問時 ほか)
第4章 絶滅拠点ヘウムノ(話題の映画で;教会もナチスに ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
15
著者はホロコーストをライフワークにするジャーナリスト。50万人がガス室で殺されたべウジェッツ絶滅収容所、35万人がガストラックで殺され森に埋められたヘウムノを訪ねた記録。そこでは選別も強制労働もなく、人々は到着次第ガスで殺された。今でも埋葬場所では遺灰や遺骨を見てとれるという。小学校の教科書くらい字が大きく、写真も多数載っているが、別の絶滅収容所ソビボルやマイダネクの話が挟まれるので、事実関係がわかりづらいところがある。ある程度ホロコーストのことを知っている人でも整理しながらでないと混乱しそうかも。2018/07/15
Cinejazz
8
ポ-ランドのユダヤ人絶滅収所アウシュビッツ、マイダネク、トレブリンカに先駆けて建設されたという「ベウジェツ」と「ヘウムノ」のナチス強制収容所跡の取材記録です。戦後70年を過ぎてなお、人間の悍ましき行為の犠牲となった数百万人の魂の叫びが聞こえてくるような震えを覚えました。後世に引き継ぐべき負の遺産として、記憶に刻み込まれねばならないという著者の強い想いが伝わってくる人類への告発の書です。(校正ミスによる誤字・誤植が数カ所あり)2020/11/08
エル
5
ユダヤ人をただ殺すためだけに作られた施設。ユダヤ人のホロコースト関連の本は読むたびにあまりの生々しさに驚愕するが、今作もそう。薄い本でありながらもずしりと重たい一冊。慰霊碑の名前が仮というのがユダヤ人を人としてみていなかったという事実に改めて震えた。2023/01/29
ななし
4
かつては絶滅収容所の跡地から人骨が見つかることもあったのだとか。記憶を風化させないための市民、博物館の取り組みが紹介されている。あとがきに筆者の友人である博物館の職員が日本はこのままで大丈夫なの?と尋ねたと書いてある。クロード・ランズマンが「日本はドイツと(wwⅡ)に同盟を結んでおり、ショアーという出来事と無関係ではない」と言っていたことを思い出す。直接の当事者じゃなくとも過去からの応答に応える義務はあり続ける。2022/02/07
ごん
4
写真もかなりあるけれど悲惨な写真はほとんどない。 そのかわり文章で語られる歴史が残酷すぎて、国は違えど同じ人間がこんなむごいことをできたのかと思うと本当に恐ろしくて、目を背けたくなる。胸が張り裂けそう。 でも勇気を持ってこの真実を伝え続けている人がいる。 私も異国の地にはいるけれど、こういう歴史をしっかり学ぶことにしようときめた。2020/07/13