内容説明
エレベーターで刺殺死体が見つかった。捜査にあたったモンタルバーノ警部は、カリーマという謎の女性にいきあたる。だが、女性は行方不明で、その子どもの行方も知れない。事件の奥に深い闇を予感する警部。そんな折、町には、おやつを盗む奇妙な泥棒が出没するようになる…。息をもつかせぬ展開のなかに、警部とあどけない子どもとの切ない愛情を描き出し、イタリアでベストセラーとなったミステリーが文庫オリジナルで登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
86
発行年を見て『悲しきバイオリン』を先に読んだのに、本国では『おやつ泥棒』の方が先だった!でもモンタルバーノ警部を取り巻く事情がいろいろわかり、面倒くさい性格の根っこも少し見えて『悲しき〜』よりも楽しめた。制約の多い日本のお巡りさんとは大違いで、証拠の捏造とかえげつない情報操作とかなんでもアリ。イタリアだから許せるしスカッとする。そして本作も美味しいイタリアンが食べたくなる!2016/12/23
NAO
64
イタリアンミステリは、初読み。短期間に、領海侵犯で船員が銃殺され、アパートのエレベーターで男が殺害され、おやつ泥棒事件が起きた。ちょっと変わった警部の言動をイタリアらしいと好意的にとらえるかどうかで、好き嫌いがわかれそうだ。新聞の書評にひかれて読んだが、個人的には、さらっと読めるけれど大した感想もない作品だった。2021/11/09
yumiha
42
のっけから「まるまる肥えたアンチョビーを1キロ半もたらふく詰めこんだ」という文に驚いたのだが、このモンタルバーノ警部(44歳)は、さまざまな種類の魚をようけ(私の4~5倍)食べはる場面が何度もあるんですわ。つまりシチリアのみなさんは魚好き(但し乳飲み子は除く)で、ミートボールは犬の食べ物だそうな。って、本書はシチリア料理の本ではありませぬ。立派なイタリアンミステリーなのだが…💦地理的に近いチュニジアのテロリストも登場して混迷を極める殺人事件あり、かわゆくも痛ましいフランソワ坊やも花を添えるミステリー。2022/02/20
たまきら
32
読み友さんの感想を読んで。イタリアで大人気のシリーズとあり、ワクワクしつつ手に取りました。40過ぎの仕事中毒者警部が魚料理に夢中になる部分は最高ですごく楽しんだんですが、長年の恋人に対する態度とか好みじゃないわ~。とはいえ、イタリア男子(シチリア男子というべきかな)のノリが伝わってくる部分は楽しかったです。2022/04/03
コジ
29
★★★★☆ 児童文学のようなタイトルだが、シチリアの架空都市ヴィガータで起きた殺人と漁船襲撃の2つの事件を追う、男気溢れる警察小説。主人公のモンタルバーノ警部は怒りっぽい雰囲気があるが意外と冷静、食欲旺盛。読書家でもある。地道な聞き込みと卓越した推理力、様々な策を講じて事件を解決に導く。食事のシーンはシチリアが舞台だけあって魚介料理中心のイタリアンで魅力的。おやつ泥棒も重要な要素として登場するのでご安心を。重厚なミステリーをエスプレッソとするなら、本書は苦味とまろやかさが共存するラテかカプチーノな面白さ。2016/04/29