内容説明
南国的な異国情緒や世紀末的な美意識にあざやかに彩られた象徴詩、やわらかな追憶の風景や子供たちの無垢な心の世界を歌った短歌や童謡。官能と純真さをあわせ持ち、豊かな語彙と多彩な技法で、比類なき言葉とイメージの世界を展開した詩人・北原白秋。現代の詩の光源となった代表的な詩作品のみならず、「城ヶ島の雨」「ペチカ」と、誰もが愛唱した童謡や歌曲も豊富に収録したアンソロジー。
目次
邪宗門
思ひ出
東京景物詩 及其他
畑の祭・真珠抄・白金ノ独楽
水墨集・海貌と雲・新頌
短歌 抄
童謡・歌謡 抄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クプクプ
85
まず「銀座の雨」がよかったです。1944年12月に書かれた詩でサンタクロスと出てくる季節の銀座に雪ではなく雨が降っていたのですね。次に童謡の「からたちの花」「ペチカ」「待ちぼうけ」などは私が小学生の頃に合唱をした曲です。物事にはすぐに結果が出るものと、何十年も後になって結果が出るものがあると、この「北原白秋詩集」から学びました。バラエティに富んでいますし、奥も深く、非常に内容の濃い一冊でした。2022/07/27
RICK
1
たまにはいいよね。ゆったりと。2012/07/07
AR読書記録
1
初北原白秋.童謡のイメージしかなかったので,『邪宗門』の耽美的世界にいきなりびっくりした.ただこのあたりはあまりに濃密なので,『海豹と雲』あたりの,写実味のある作品が好きだなあと思った.あと,自身の収監や失明への不安といった,心の中をまっすぐに吐露した歌とか.「盲(し)ふる待つその安らともあらなくにいつか閑けき月日となりぬ」.2011/12/25
眉毛ごもら
0
再読。童謡で現在も歌い継がれる名作盛りだくさんのイメージが強い北原白秋の詩集である。祖母が童謡が好きで年柄年中テープをかけていたおかげで童謡の箇所は歌えるものが多かった。白秋の詩は七五調のものが多いので読みやすく朗読しやすい。たまにあるブラックさが好き。金魚の母ちゃんが帰ってこない子どもが金魚を次々とコロコロしていくところとか。これは月吠えではじめて知ったがまさかの童謡だったとは!子供の頃の純粋なる残虐性ってあるよね〜。子供的にはウケそうな歌だなと思うたり。また戦時歌謡的なものもあり時代を感じさせる。2021/04/30