出版社内容情報
少女マリア・Kに取り憑いたのは悪魔なのか、それとも-。彼女の精神の内部へと入り込んだサイコ・ダイバー伊藤が見たのは、おぞましい”闇”の世界だった! 解こうにも解けない人間の心の闇は、”もう一つ宇宙”への入り口なのかを問う表題作をはじめ、「岬にて」「すぺるむ・さぴえんすの冒険」「あなろぐ・らう゛」等、宇宙創造の真理に鋭く迫る”ゴルディアス四部作”を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
52
ごく普通の物語のようなイントロから、いつの間にか宇宙誕生に関するSF的思考の実験小説へと発展していく驚き。小松左京の多方面にわたる豊富な知識と情報が、エンタメを超えた哲学へビッグバンを起こしている。『日本沈没』や『復活の日』のような科学的リアリズムを根幹に展開する長編もよいが、これらに劣らぬ巨大なアイデアを贅沢にも短編に詰め込んでいて圧倒されてしまう。特に表題作はこれで終わらせるのがもったいないほどで、ぜひサイコダイバーが活躍する長編に書き改めてほしかった。今まで見落としていた小松さんの中短編も要再読か。2020/12/03
たー
18
「100分de名著」で紹介されてたので読んでみた。小松左京は日本沈没しか読んだことはながったが、哲学、物理学、心理学、旅行記(!?)など色々な要素が折り重なった圧巻の短編4部作。2019/09/09
むーむーさん
17
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」がいい。2016/11/06
ネムル
13
期待し過ぎたな。肩透かしの感ありあり。人間の心の奥の闇とブラックホールを繋げるアナロジー、というかアナロジーを越えていこうとする説得が杜撰で、ワンアイデアの小説にしか感じない。こういうのが大森望言うところの、文系SFというやつだろか?2017/07/10
KOJI0910
12
読んだ本は角川文庫のやつだが、表題のゴルディアスの結び目以外の話はなんだかよく分からなかった。ただ、一貫して宇宙の誕生が書かれているので興味深い。どことなくグロテスクな話やセクシーな描写があるのは作者が戦後の世界を生きて、そこはそれほど豊かな世界ではなかったということにも関係があるのかもしれないと解説を読んで思った。2019/07/26