内容説明
放課後の理科実験室で、ガラスの割れる音がひびいた。床の上で、試験管から流れ出た液体が白い湯気のようなものをたてていた。甘くなつかしいかおり…、そのにおいをかいだ芳山和子はゆっくりと床に倒れふしてしまった―。それ以来、和子のまわりで不思議な事件が次々と起こった。夢をみているのかしら、それともこのわたしだけ時間が逆もどりしているのかしら?和子は同級生の深町一夫と浅倉吾朗に相談するのだが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
78
1966年作品の'97年新版。ドラマ・映画と比べて今読むと、当時でもこんな会話をする中学生はいなかったのでは? と思えるが、タイムリープの描写と記述が整然と、SFとしてよくできていて、ヒロインの時間跳躍が中学生の日常に密着した数日間に限られていること、「いつか会う人」という終章タイトルのように、思春期の感情を抒情的に描いたのもよかったのだろう。解説の大林監督も83年の映画をプライベート・フィルム、小品、かなしみ等という言葉を使って述べているが、だからこそ「時をかける少女」は今も読まれ語られているのだろう。2020/04/13
たー
12
今更ですが、たまたま図書館にあったので。筒井らしからぬ?純愛物の本編も良いですが、解説が一興です。2019/05/18
5〇5
6
筒井康隆といえば、ブラックユーモアやスラップスティックのイメージが強い ♦しかし、本書はピュアな少女が紡ぐ正統派ジュブナイルである ♣映像化により広く知られるようになった作品であるが、改めて読み込むと、ケレン味のない無垢な直情が鮮明に伝わってくる ♥そこにこそ、筒井康隆の卓越した表現力の本質が見て取れる ♠タイムリープというSF的要素と、中学生男女の繊細な心情が見事に融合した一冊である。2025/01/11
カキノコナン
6
細田守の同映画が好きで、いつか原作を読もうと思いようやく読んだ。アニメ映画とは主人公も違い未来から来た少年も違うけど面白かった。物凄く短くて1時間もかからなかったけれど、内容は十分に満足できるものだった。ラベンダーの香りと共にぼんやりと記憶している素敵な人とまた会えると良いね…。2021/08/01
ナナオ
6
有名作をやっと読んだ。こういう話なんだ。角川映画全盛期は盛り上がってたんだろう、いいなー。2013/12/23
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