出版社内容情報
野菜は京都、牛肉は神戸、鳥も京都、魚は大坂から中国一帯が一番うまいことは、多くの人の認めるところである。東京などは江戸前とか何とか言って威張っているが、考えて見れば徳川氏草創の頃の田舎料理がそのまま今日に伝わったのだ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hitsuji023
8
エッセイや小説などから食に関する事柄を集めた一冊。いろいろな作品を読めるのでお得だけど、その分物足りなさも感じる。谷崎は関西に住むようになったからなのか、地震後昔の面影を無くしたからなのか、結構東京に対して厳しい。東京はある意味田舎だという。江戸以来政治的に都になった東京は人為的に繁華になったとも。この意見は理解できる。こういう意見が出てくる背景には昔の面影を無くした、生まれ故郷に対する想いも少しあったのかとも思う。食に関してはエッセイよりも小説の方が面白い。うまい(食だけに)。2023/10/21
こばちん
6
極端なほど西の食に肩入れし、東(東京)の食はけちょんけちょんに言われていて、もうほとんど頑固親父にしか思えんかった…(^^;)2015/07/16
KO
2
西の味覚を礼賛しているというより、失われてしまった東の文化や味覚を嘆いているように思えた。彼がこの本で言っているように、いつの時代も、「昔は良かった」と言われるものだけれど、当時の関東大震災が東京に与えた影響、破壊したものはとても大きかったと思える点が、今の時代にシンクロしているようにも感じた。2014/02/22
ひろみ
2
悪気のない毒舌に、なにもそこまで言わなくてもと思いながらも零れるのは笑みだったりする。「それにつけても凡ての作家が郷土を捨てて東京を志すのは、大きく云えば日本文学の損失である」に納得。食だけではなく、東京を舞台とした小説には良くも悪くも刹那的な、一瞬燃え上がって消えていくだけの輝きしか感じられないものが多い。もちろんそれが生きる場合もあるけれど。東京に10年住んでみて漸く私も東京という魔法から解き放たれようとしているみたい。2014/02/09
mogumogu
1
なぜ西味はイメージからして、おいしいんなんだろう。谷崎潤一郎も西味贔屓。東京生まれなのに、東味はうすら寒くて悲しいらしい。同じ郷土の私としては悲しいけど、わからなくもない。西味は繊細で気持ちが細部にまでこもっている印象があるなと私も感じる。土っぽい根性のある東味の味付けがいいと思うのにな。 谷崎潤一郎はおいしそうな描写ものより、まずさにうんざりさせられた描写ものが、おいしそうに思える。不思議。2013/12/23
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