内容説明
樹を見て風を聴く。アイヌ・コタンに舞い降りた“樹の精”。孤高の木彫作家の全貌。
目次
阿寒―風土に根ざして生きる
旅人―ここにたどりつく人がいる
カムイ―神々に見守られて暮らす
祈り―目を閉じて思うこと
家族―道筋は、いまも残る
著者等紹介
瀧口政満[タキグチマサミツ]
1941年、旧満洲(現中国東北地方)に生まれる。3歳の頃、高熱のため聴力を失う。67年に阿寒湖畔に移り住み木彫りの制作を始める。シマフクロウをはじめとする動物や、風と対話する少女像など、和人でありながらアイヌの心と響き合う独自の作品世界が評価され、厚生大臣賞、北海道知事賞、釧路市文化賞などを受賞。2017年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
22
彫刻家の写真集です、主にフクロウを制作する、実際、この彫刻家の作品を見たことがあるが、荒々しさの中に、繊細な彫刻の入れ方である、フクロウはまるで生きてるように羽ばたく様子は阿寒の森に彷徨い一條の光を浴びて舞い降りる姿を想像します。2019/04/06
あられ
3
好きです。風景にそっとたたずんでいる、そんな作品達に心がざわめいてしまう、2019/11/20
の
2
北海道・阿寒湖畔のアイヌコタンを拠点に活動した木彫作家・瀧口政満の作品集。アイヌの心と響き合う石の彫刻と木の彫刻を制作し、石は硬く滑らか、木は柔らかく武骨な作風が特徴。木像の寒くて布に覆った体から顔だけ見せる少女たちや樹上のフクロウはどこかお茶目で、石像の祈る老婆たちには敬虔で艶やかな印象を受けるのは、上記の二項対立が上手く働いているからだろう。作品には一貫して「自然と調和するアイヌ」のテーマが込められ、何かを想う人間への眼差が切り抜かれることで、生命の営みの尊さが浮かび上がる。像の光の反射も美しい。2019/08/21