内容説明
拓銀破綻から20年。前例なき「小が大をのむ」拓銀の営業譲渡。引き継ぎ交渉で奮闘した実働部隊リーダー(当時の北洋銀行副頭取)による実録。
目次
第1章 バブルの形成(日銀札幌支店長に就任;地元銀行の動向)
第2章 バブルの崩壊(株価・地価の大暴落;北洋に入行 ほか)
第3章 拓銀の破綻(突然の電話;拓銀破綻の日 ほか)
第4章 営業譲渡に向けて(雇用問題;貸出債権の引き継ぎ ほか)
第5章 新しい北洋銀行(北洋頭取に就任;北洋・札銀両行の経営統合 ほか)
著者等紹介
高向巌[タカムキイワオ]
1938年東京都生まれ。62年東京外国語大学中国科を卒業後、日本銀行に入行。67年米コロンビア大学経済学科修士課程修了。その後、IMF出向、北京大使館出向、日本銀行香港事務所長などを経て、87年同札幌支店長、(株)インベスターズサービス常務取締役、日本銀行情報サービス局長を歴任。93年北洋銀行に入行し副頭取に。2000年頭取就任、06年会長、12~17年相談役。04年からは札幌商工会議所会頭、北海道商工会議所連合会会頭を務め、16年から名誉会頭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
北海道の第二地銀であった北洋銀行が、バブルの頃も踊らされないで地道に本業を行っていた時に都銀の北拓がつぶれその受け皿となってさらに札幌銀行を傘下に収めて今は第二地銀で一番の資金量となっています。その経緯を副頭取時代から頭取、会長として退くまでを読みやすい筆致で描かれています。力も入っておらず客観的な感じで書かれているので好意が持てます。もともと日銀出身であったので、良識があるということなのでしょう。2018/06/01
おさむ
35
1997年の拓銀破綻は北海道にとってはとてつもない大惨事でした。道民にとっては山一證券の自主廃業よりも記憶に残っています。あれからはや20年。道内分の営業を譲受した北洋銀行の高向元頭取の回顧録。文章に派手さはないが、著者の人柄の実直さがじんわり伝わってきます。その後は札幌銀行とも経営統合して道内最大の金融グループになった北洋銀行。いま各地の地方銀行の合従連衡が盛んですが、いま考えれば、北海道はそのはしりだったんだなあ。2018/03/05
スプリント
5
破綻した北海道拓殖銀行を吸収した北洋銀行の頭取による回顧録です。なぜ北洋銀行が自行より大きな銀行の救済に動いたのかその経緯が興味深かったです。2018/02/24
鼻
1
転勤で北海道に来てびっくりしたことが第一地銀の道銀より第二地銀の北洋の方が規模が大きいということ。オマケにお互いの仲もそんなに良くないという話を聞いて、理由を調べると拓銀破綻の際に北洋が買収したという顛末。バブル崩壊の最中に潰れた金融機関の行く末だったり、引き受けた銀行の苦労が如何様だったのか知りたいと思い購入。読み進めてみると、実際は買収ではなく営業譲渡だったり北洋自身もやむを得ない引受だったりと営業譲渡の悲喜交々の裏話が知れて概ね満足。2019/06/22
阿輸迦
0
北洋銀行頭取の武井正直氏がいかに偉大だったか、が伝わる。バブルに踊らず、バブルに踊って破綻した北海道拓殖銀行の営業譲渡まで、歴史の1ページを垣間見た。2023/09/07