内容説明
ふるさとは霧と湿原…。ロマンを生きた才女がいた。秘蔵写真、ロング・インタビュー、決定版年譜を収載。
目次
第1部 原田文学に迫る(『挽歌』という伝説―原田康子論;『聖母の鏡』―旅の思い出と共に ほか)
第2部 素顔の原田康子(インタビューの実現まで;原田康子氏インタビュー(2006~2007) ほか)
第3部 私のなかの歴史(愛のかたち、文学に)
第4部 原田康子作品選(サビタの記憶;峠 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoru
10
原田康子ゆかりの人びとが丹念に掘り起こした作家の生涯。インタビューや写真がとても貴重。ベストセラー『挽歌』がガリ版刷りの雑誌から誕生したことが興味深い。川端康成や大江健三郎も彼女を評価し、気を配っていたという。マスコミに踊らされることなく淡々と自分の信じる世界を書き続け、晩年にも自身の一族を描いた『海霧』のような重厚な名作を生んだ。次は戦争について書きたいと言っていたことが果たされなかったのは残念だが、実に作家らしい作家であった彼女の作品をこれからも読み続けていきたいと思う。2018/03/12
まろまろ
6
原田康子の作品が生み出されるまでの経過が描かれる。基盤となる釧路の厳しい自然、軍需工場で隠れて読んだ小説、鍛えられた新聞記者時代。どこを切り取っても彼女の生き方はブレることなく、28kgという細い体に潜むたくましさはいつまでも魅力を放つことだろう。2021/10/24
Mameyama
3
14歳で挽歌を読んだことが文学の扉を開けるきっかけとなり、以後一貫して一番好きな作家です。北海道立文学館にて購入。原田さんゆかりの場所でこの本に出会えたことに感謝。懐かしい短編も掲載されており、近しい人達による人物評も面白く、手に入れることができて本当に良かった一冊。2015/12/10