内容説明
子どもの頃、テート・ギャラリーの『フェアリー・フェラーの神技』に魅せられたダニーは早熟な天才だったが、それゆえに人生の意味を見失い、やがて酒とドラッグに溺れていく。ある事件をきっかけに、絵の謎を解くことで母への償いをし、人生をやりなおそうと、画家の足跡を忠実に辿る旅に出るダニー。だが、次第に精神の均衡を失い、自分をダッドと同一視するようになる。はたして行き着く先にあるのは当初の目論みどおり贖罪・和解・希望かそれとも…?彼は、妖精の男…ヴィクトリア朝の狂気の画家、リチャード・ダッドの同名作品に触発された傑作幻想小説。2003年度英国幻想文学大賞短篇部門受賞。
著者等紹介
チャドボーン,マーク[チャドボーン,マーク][Chadbourn,Mark]
清掃員、運転手、整備工、バンド・マネージャー、レーベル社長、ジャーナリストと多彩な職歴を持ち、1992年“Underground”で長編小説家デビュー。『フェアリー・フェラーの神技』で2003年度英国幻想文学大賞短編部門受賞。現在は森の奥に住み、環境保護と呪術のかたわら、精力的に執筆中
木村京子[キムラキョウコ]
慶応義塾大学文学部卒業。子供時代に2度、通算5年間ニューヨークで暮らす。大手信託銀行勤務の後、最近10年間は台北・上海・香港とアジア在住
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感想・レビュー
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Quadrophenia
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「彼は、妖精の男(フェアリーフェラー)…」この帯を見たなら買わずにはいられない。QUEENのアルバム「QUEENⅡ」に収められた同名の名曲(原題はThe Fairy Feller's Master Stroke)と同じく、ヴィクトリア朝の発狂した画家リチャード・ダッドの絵画(表紙の絵)がモチーフになっている。曲は最高ですので是非。小説のほうは…それなり。2014/03/07
hal0609
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世界幻想文学大賞短編部門受賞作です。収められているのは表題作のみ。 リチャード・ダッドの絵「フェアリー・フェラーの神技(お伽の樵の入神の一撃)」に魅入られた主人公はその絵を理解すべくダッドがたどった旅路を自分もたどることにする。そんな主人公の周りを何者かが跋扈する気配を感じるのだが、主人公は幻想を見ているのかそれとも異界を覗き込んでいるのか。 ホラー風に話は展開し、最後は…。 短い話ですが、読み応えがありました。重厚な展開をするのですが、最後に一ひねり。 もちょっと読まれても良いと思います。2013/03/25