内容説明
あなたは知っていましたか?こんなワルい『桃太郎』が存在したことを。稀代の天才作家と、新境地を開いた天使の画家、時代を超えた衝撃の出会いで生まれた、全く新しい桃太郎。
著者等紹介
芥川龍之介[アクタガワリュウノスケ]
1892年3月、東京都に生まれる。辰年辰月辰日の辰刻に生まれたため、龍之介と名付けられる。1916年、東京帝国大学英文科卒業。同年に発表した『鼻』が夏目漱石の賞賛を受け、一躍文壇の寵児となる。心身の衰弱から1927年7月、35歳で服毒自殺を遂げるまで、『羅生門』『蜘蛛の糸』『杜子春』『河童』など、数多くの著作を残した
寺門孝之[テラカドタカユキ]
1961年2月、名古屋市に生まれる。3歳より神戸で育つ。1983年、大阪大学文学部美学科卒業。1985年、セツ・モードセミナー卒業。第6回日本グラフィック展で大賞を受賞。展覧会での作品発表の他、書籍の装画、広告、ライヴペインティングなど幅広く活動を展開している
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感想・レビュー
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Roko
31
桃太郎と言えば「おじいさんは山へ柴かりに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。」から始まるお話ですが、芥川の桃太郎はそれよりずっと前、あの大きな桃の実がなった桃の木の由縁から始まります。桃太郎は鬼征伐へ行くのですが、そもそも鬼というのは悪者ではないというのが、このお話の凄いところ。事件が起こった時にヒアリングしてみると、被害者と加害者とで全く違う話になってしまうことがありますけど、これは正にそういうお話。ストーリーも奇抜ですけど、寺門孝之さんの挿絵がこれまた素晴らしくて、あっと驚く桃太郎のお話にビックリ!2024/02/11
まる子
24
2024年1月に河出書房新社から発売。私が図書館で借りたのは2005年にピエ・ブックスから発売されたもの。どちらも寺門孝之さんの画、著者は芥川龍之介なので内容は同じだろう。100年前に芥川龍之介が書いた、勇敢な昔話『桃太郎』のパロディ。お爺さんおばあさんのような暮らしは嫌だからお宝のある鬼ヶ島を目指す桃太郎。お爺さんおばあさんも彼には手を焼いているので出て行かせる好都合。猿雉犬のお供にはキビダンゴ半分だけ。鬼ヶ島では女性を凌辱し殺す。お宝を持ち帰ったは良いが、鬼からの仕返しに…。(コメントにつづく)2024/04/28
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
24
芥川龍之介が書いた桃太郎に、寺門孝之さんの度肝を抜く絵。「女の子?」と思ったけれど、ジェンダーフリーな現代、そのようなことを言ってはならないのだなぁ。話も独特で、働きたくないから鬼退治に行ったとか、鬼は悪いことしてないとか、他の昔話の引用とかありますが、もとを知ってこそ楽しい大人の昔話。見開きのしかけあり。2022/01/20
あおい
22
物事を別の側面から見ると全く違う話になる…とは言えこの桃太郎極悪すぎでしょ。寺門孝之さんの独特な絵が更に桃太郎の毒をパワーアップさせている気がする。子供に見せずに図書館に返そう。2015/07/05
キジネコ
22
日本中の子供たちが既に知っている様に・・・と始まった筈の馴染みの童話が芥川龍之介の想像力の翼の不思議の風に煽られて少々奇怪な噺になりました。 例の猿が云います「一つください、お伴をしましょう」桃太郎は咄嗟の判断をします。「ひとつはやられぬ、半分やろう」寺門孝之さんの絵と相まってシュールな桃太郎が展開されます。なぜ 鬼ヶ島に行くのを思い立ったのか?なぜ 鬼たちは征伐を受けねばならなかったのか?なぜ・・・・ これは、子供に読んで聞かせるには・・・・些か憚りが ♫ さすがの龍之介 (o^^o)面白い収穫。2013/06/09
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