出版社内容情報
複製・視覚メディア文化と死の神話学。
アンディー・ウォーホルの『マオ』シリーズに交錯する
小説家とテロリストの肖像。
内容説明
「未来は群衆の手に」ポストモダン・メディア時代のカリスマ作家ビル・グレイの失踪と残された肖像写真のアウラ。アンディー・ウォーホルの「マオ」シリーズに交錯する小説家とテロリストの肖像。複製・視覚メディア文化と死の神話学。ペン・フォークナー賞受賞小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ecriture
7
テレビなど視覚メディアの持つスピード、インパクトに今や完全なる敗北を喫した小説。最早誰も小説を読むことはなく、読まれる必要もない。小説は死んだ。主人公である最後の小説家ビル・グレイもまた小説家のみをターゲットに写真をとる写真家ブリタ・ニルソンの手によってイメージの牢獄に囚われたかに見える。テロリズムに代表されるスペクタクル・全体主義的イデオロギーに対し小説家は何を成し得るというのか。絶望の先に小説の可能性を模索する一冊。2009/09/24
hikarunoir
1
前作より今日的なテロ/現実の個人崇拝に対し、神格化による創作敗北の予感は、本作と対をなす「墜ちてゆく男」で決定的となる。2015/02/28
ULTRA LUCKY SEVEN
1
何より文章が読みやすくて美しい。なぜのこれが絶版?こういう人が日本で村上春樹並みに売れてほしい。2010/02/10
ふくろう
0
思った以上にメディア論で驚いた。そもそも、WW2の宣伝と軍事、群集操作が、メディア論の根底にあるので、そういう意味での大量コピーとテロリズム。デリーロは、メディア論としてはきわめてアメリカ的なお人だなと。2009/02/18