内容説明
天安門事件の忘却が「日中友好」なのか?「親中」なら中国の現体制を批判できないのか?「親中vs反中」という硬直した図式に囚われてきた我々の対中認識。劉暁波のノーベル賞受賞でも同じことが繰り返された。「天安門事件」とは何か?「08憲章」とは何か?中国の近代化とは何か?そこで問われているのは、我々自身の認識と隣人への姿勢である。
目次
1 私には敵はいない―劉暁波の思想と行動(私には敵はいない―私の最終弁論;私の自己弁護 ほか)
2 ノーベル平和賞受賞の意味―希望は「民間」にあり(劉暁波のノーベル平和賞受賞に関する声明;受賞は中国の民主化を促すか―北京の現場から ほか)
3 「08憲章」の思想―和解による民主化(「08憲章」と中国の知識人;「08憲章」―和解の宣言、協力の宣言 ほか)
4 天安門事件とは何だったのか―劉暁波の原点(天安門広場空白の三時間と劉暁波;歴史に対し責任を負う劉暁波 ほか)
5 「近代化」という中国の課題・矛盾・希望(劉暁波と中国政治体制改革;「官と民のせめぎ合い」と中国の今後―和諧モデル崩壊後に何が来るのか ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
16
再読。1989年六四事件で天安門の犠牲を食い止め、中国に留まって08憲章などの民主化運動を続け、2010年にノーベル平和賞を授与されながらも2017年7月13日獄中で亡くなった劉暁波氏の論文と劉氏に関わった日本・中国の人々の文章を集める。劉氏の誠実な人となりと劉氏が期待していた中国の「民間」の状況が良く伝わってくる。今中国は習近平国家主席の強権下にあるが同じく絶望的な状況下にあったミャンマーで民主化が進んだように遠くない将来劉氏の願った中国の民主化も訪れるだろう。その時一人の友が懐かしい家に帰れるはず。2018/06/27
BLACK無糖好き
14
2011年刊。2010年にノーベル平和賞を受賞した劉暁波の思想や「08憲章」の解説、さらに中国民主化の行く末などについて日中の研究者・ジャーナリストらによって寄せられた論文集。◇劉暁波の崇高な思想を読み解く分にはいいが、民主化など政治的な文脈で書かれた事柄は、習近平体制以前と以後とでは大きく状況が変わっているだけに、感覚的なズレを感じざるを得ない。特に李鋭らが全人代に出したメディアの報道の自由度を求める2010年の公開書簡は、習近平によるメディアへの締付けが強まった現在から見ると隔世の感がある。?2018/01/11
出原樹音
0
もう少しかみ砕いた解説が欲しい。2018/09/14
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