感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Haruka Fukuhara
11
近所の大きな書店に置いてあった。学部在学中に受賞して出版にこぎつけた、おそらくほぼデビュー作のような本だが、多分手に取ったのは初めて。自信満々な姿ばかり見てきたのであとがきで多方面に深謝する姿(とどこまで本気かわからないが、一文一文を書くのに怖さがあるといった話)は少なからず意外だった。佐々木と佐藤は今後の政治学会を引っ張っていくのかな、自分は何が出来るのかな、とか少ししんみりしてしまった。2017/06/15
ア
5
1955-1960に(統一)日本社会党の委員長を務めた鈴木茂三郎の生涯。政策に反映されずとも議会制民主主義の一部となっている「もうひとつの政治」を浮かび上がらせる試み。おもしろかった。筆者はこれを学部在学中に書いたのか…えげつない…2023/06/20
DBstars
1
恥ずかしながら、鈴木茂三郎という人物を本書に触れるまで何も知らなかった。それゆえ私個人にとっては発見の連続であったとともに、党内対立や政策一致、政党そもそもといったものについて、現代政党を見る際にも有効な考え方や視点を、本書もとい鈴木が提供してくれたように思う。 何よりあとがきの言葉「陽の当たることのなかった政治の姿に目を向けてこそ…(後略)」(p.195)。これが胸に刺さる。55年体制の裏、政権交代の裏、そこに注目するから面白いのだと思いたい。2022/08/12
スズキパル
1
戦後日本の「革新」勢力を結集し、55年体制の礎を築いた人物ともいえる、鈴木茂三郎の伝記。戦後の社会党内では一貫して左派を主導する立場にあった鈴木であるが、暴力革命や共産主義に対する不信の念が彼の思想の根底にあったのは興味深い。日本の独立のための「非武装中立」を重視した点は理想主義者としての彼の一面を捉えている一方、二大政党制を志向し、社会党の統一を必死に確保しようという姿勢には現実主義的な雰囲気すら感じた。片山内閣や旧安保承認問題において、しばしば右派との対立や分裂を生んだ背景にも、彼のジレンマを感じる。2013/05/25
Ryueno
1
統一社会党初代委員長である鈴木茂三郎を軸に描かれた政治史。第Ⅰ部「戦前」では、社会党議員「鈴木茂三郎」の思想・行動がどのように形成されていったのかを丹念に記している。それを踏まえて第Ⅱ部「戦後」では戦後政治史をなぞっている。読了して思うのは、社会党の外側にいる人間の、社会党に関する無理解についてだ。自民党に関する本も社会党に関する本もそれなりに読んでいたつもりだったが、党外ではここまで理解されていなかったのか。社会党内の意思統一が不十分だったことを差し引いても、驚きの念を禁じ得ない。2011/04/24