内容説明
“風景”を通じて考える、日本型都市の創造への道。西洋型の「近代化」を追い求めるなかで、骨格を失って拡散してきた日本の都市を、いかにして再生することができるか。庭園の如く都市に自然が溶け込んだ日本型の「山水都市」に立ち返り、「公」と「私」の関係の新たなかたちを、そこに探る。
目次
はじめに―日本文化の円熟のために
第1部 零落した山水都市(風景の季節―持続社会の富を探そう;揺れる異邦人の視線―都市はこう読まれた;日本の風景は病んでいるのか―漂流する反都市;風景はなぜ歪んだのか―失われた都市の大義)
第2部 伝統を継ぐ近代市民(新しい豊かさを発見した英国―美意識は社会を覆せるか;西欧アメニティの源流―市民社会の生活感情と規範意識;明治の構想力―花鳥風月をこえて;風土の底力―革新のなかの伝統;大正デモクラシーの風圧圏―無有好醜の系譜)
第3部 転生する山水都市(お作法としての町づくり―町並みはアートではない、作法美である。しかし…;天地人の綾織り都市―天の気・地相・社交;社交する都市―生活文化を創成する;円熟の季節―変わる文明の潮流)
あとがき 風景という黙示―「場所」と「身体」の亀裂を癒す
著者等紹介
中村良夫[ナカムラヨシオ]
東京工業大学名誉教授、元京都大学教授。工学博士。1938年、東京生まれ。東京大学工学部卒業後、日本道路公団技師として実務に携わり、景観の工学的研究の必要を痛感して大学へ戻る。東京大学(土木工学)、東京工業大学(社会工学)、京都大学(土木システム工学)にて、景観工学の研究と教育に従事するかたわら、市民学としての風景学を提唱。パリ大学社会科学高等研究院招聘教授(1985)。この間、広島の太田川堤防、多摩ニュータウン上谷戸橋、羽田スカイアーチ、広島西大橋、古河総合公園などの計画と設計に景観工学の理念と手法を導入(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。