出版社内容情報
政治・経済・文化のシステムはいかに構築・再生産されるのか――社会学の根拠そのものから問う批判理論への充実した導入書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
贈与と交換、国家と資本、利害と無私という対をそのまま実践の理論に組み込むことはできない。功利主義以来定義を人間の分節された言葉から導出するホモ・エコノミクス(経済人)には、行動や実践は合理性の範囲でしか説明できない。『実践感覚』で個々人の状況の具体的な行動に注目し、言葉以前のハビトゥスの形成を様々な資本の力の場から捉えた著者は、状況の不確実な曖昧さに「本能のように自動的」に行動するヒトの性向に社会的条件と行動との密接な関係を見る。講演集である本書は、個々人の時間性と切り離せない状況の理論の基礎概念を示す。2024/05/27
rymuka
1
p.226,119の要約。カビール族の男性には面子を守る義務がある。女性は,そうした面子や象徴経済との関わりが薄い代わりに,経済的真実を言うことができる。------東電の奥様方が地域に何を言ったか,想像できる。~http://rymuka.blog136.fc2.com/blog-entry-22.html2011/11/23
SQT
0
基礎概念を説明した講演集。日本での講演も含まれている。ブルデューがよく受ける誤解についても釈明している。構造主義ではないと。それは自己を規定すると共に、それによって強化されるような生成論だと。オートポイエーシスと近い。それを身体化したものであると捉えているところがオリジナルか。贈与について、無私なものでも、計算尽くのものでもなく、無私と思わせる計算という、暗黙の了解に基づいたものだとしたところが特に面白かった。類推としては、トヨティズムもカトリック的なのかな。久しぶりに楽しく読書できた。2016/10/26