出版社内容情報
【生誕150周年記念特別企画】
現在を生きる私たちが日常利用している赤いポスト、新幹線、社会保険・・・は、誰が構想し出来たのだろう?
本書は、百年先を見通して近代日本のインフラの礎を構想し作り上げた政治家、後藤新平の「仕事」を俯瞰する。〔附〕小伝
内容説明
公衆衛生、鉄道、郵便、放送、都市計画などの内政から、国境を越える発想に基づく外交政策まで「自治」と「公共」に裏付けられたその業績を明快に示す!後藤を知るための必携書。
目次
1 後藤新平の「仕事」(時間・空間を超えた広大な視野;「公共」を具現化した業績;現代に生きる後藤新平の都市づくり;行政改革と人づくり;近代日本の「もう一つの選択肢」)
2 後藤新平最晩年の「仕事」(偉人と遺産;後藤伯の大風呂敷 ほか)
3 後藤新平(わが父・星一と後藤新平;大伯父・高野長英 ほか)
附 小伝後藤新平(水沢の餓鬼大将;こころ錦の書生さん ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tai
16
後藤礼賛が強いが功績を俯瞰できた。伝記の章を星新一が執筆。新一の父、一は明治初め製薬業を興し、台湾で阿片からのモルヒネ製造により事業を発展。後藤は台湾の阿片封じに貢献。出身は東北水沢。自治三訣。人の世話にならない、人の世話をする、人に報いを求めぬ。初代総裁ボーイスカウトのモットーに。児玉源太郎の元、台湾の近代化に尽力。南満洲鉄道、東京市長、関東大震災からの復興、NHK初代総裁。都市をデザインする力。ユーラシアとアメリカを対峙させる発想。大風呂敷と呼ばれるが公共の精神を持って文明を発展させる歴史観があった。2020/11/03
mochi
10
コロナの蔓延により注目された後藤新平の検疫。コロナ以外にもありとあらゆる政策を打ち出した天才ではないかと。科学者としての知見、未来を見据えた公共の考え方。私利私欲はなく、いつも将来世代のことを考えていた。横浜の山下公園を公園の父・本多静六とともに考えたり、環状道路の建設、台湾の建て直し…彼がいなければ今の日本はなかったかもしれない。シチズン時計の名付け親でもあったとは。市民が広く使用するような時計に、とのことらしい。もし生きていたら、現在のコロナ対策や外交、地球環境などどう考えただろうか。2021/07/19
ダージリン
0
胆力があり、先見の明があり実行力があり、素晴らしい人物。東日本大震災後の混乱で、後藤新平のような政治家を待望する声があったが、なるほどと思わされた。台湾をはじめ担当した仕事での実績は素晴らしい。世襲議員ばかりだが、こういったスケールの人物が政治家であってほしい。2014/07/06
ビリー
0
大風呂敷、大いに結構。なかなか手を付けられなかった近代史に、初めて興味を持てた。台湾総督府民政長官。満鉄初代総裁。逓信大臣、内務大臣、外務大臣。東京市長、東京放送局(現NHK)初代総裁。かなりの広範囲に渡る後藤新平の仕事とエピソードを、浅く広くざっくり紹介してくれている。200ページほどでウィキペディアみたいなもんだけど、足がかりとしてはちょうどいい。全体を俯瞰できたところでちゃんとした伝記でも読もうかと思ったけど、1冊600〜800ページのものが全8巻あるとのことで。。。2014/02/18
Tomohisa Fujita
0
政治がいろいろあれな時期なので、読んでおきたかった後藤新平氏のお話。明治から大正、昭和の初めまでに活躍をされたスケールの大きな人です。大風呂敷といわれつつも、長期スパンで未来を見つめて語った都市計画は、現在の東京の発展の背景にものすごく影響している。台湾の近代化、関東大震災からの復興政策、衛生学の医師として「生を衛る」視点、私心を忘れ徹底した公共の精神。晩年に取り組んだ「政治の倫理化運動」では、「もはや政党の争いの時代ではない。世界における日本の地位を考えなくてはならぬ。」と語っている。偉大な先達です。2012/12/06