出版社内容情報
「反省性=再帰性(リフレクシヴィりティ)」概念を軸に、現代の思想状況を俯瞰しつつ、ブルデューが社会学の方法と使命を余すところなく語る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
livre_film2020
32
ブリュドゥをそもそも知らなかったため、(訳本だったこともあるが)彼の言葉に馴染めず非常に難解だった。だが、次の3点は理解した:①ブリュドゥが辛酸を舐めてきたこと、②それ故に社会的弱者に自由を得るための手法(反省性)を授けようとしていること、③理論と実践は不可分であること。マルクス主義の影響を受けているとのことだが、なるほど、インテリの慈悲をひしひしと感じたのはそのせいかと。ブリュドゥを批判するにはまずブリュドゥの属す界に参加する必要があるが、どれだけの人がそのゲームに参加できるのだろうか。ここが問題かも。2022/06/27
roughfractus02
7
大学院生との対話も含むL・ヴァカン監修の本書は、著者の考えの基盤にある「個人の意識や意志からは独立して」(マルクス)存在する「客観的関係」から本人が自らの社会学の構想を語る構成となっている。従来の還元主義(科学的実証主義と現象学)において、この「関係」を学の側から還元する傾向を批判する著者は、関係を発生から捉え、構造的に客観化する新たな概念(界、ハビドゥス、文化資本、再生産)を創出し、自らの考え自体にも実践し(反省性)、練り上げていく。入門書的な本書自体も、表題にある「リフレクシヴ」な実践の一つのようだ。2024/06/11
子音はC 母音はA
3
ヴァカンやそこでの大学院生との対話から、ブルデュー社会学の理論・目的・実践の全体像が見えてくる。ブルデューを知るには非常に良いレファレンス本。彼の多岐に渡る業績と視野の広さが凄まじい。身に付けるは参与的客観化。2014/07/05
ぷほは
2
何を読んでも退屈さが拭えないギデンズと異なり、ブルデューの著作はどれを読んでもそこそこ面白さと過剰さがある、と感じる。本人の生き方の問題が8割ぐらい占めてそうだが。主客の二項対立から逃れるため「界」や「ハビトゥス」、経済学やミクロ社会学と区別するため「資本」概念がこれでもかというくらいの頻度で登場し、かなり乱暴に使われる割には同じような説明が反復されているように感じるブルデューの語彙というのは、結局「客観性を客観化する主体性を忘れるな、ただし反省性を以て!」という但し書きの研究実践上の展開という気がする。2018/12/07
てことこ
1
方法論を大切にしていることとマルクス主義に影響を受けていることはわかる。でも序文にあるとおり確固とした内容があるわけではない。2009/07/02