感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリモ
13
んー…ちょっと微妙。思っていたのと違った。中世のことを色々語ってくれるのかと思いきや、著者が何故中世に興味を持ったかを語る本だった。そこが微妙だった。2020/10/20
左手爆弾
5
「暗黒の中世」と「理想化された中世」、筆者はこのどちらのイメージをも遠ざける。アナール学派的な伝統に沿いながら、法や大規模な経済制度に回収しえない人びとの心性(マンタリテ)を追うことで中世を明らかにしていく。中世はなるほどひとつの全体性をもった文明ではある。しかし、それは多様であって、ペトラルカやブルクハルトが古典古代と近代(現代)との中間に位置づけたような仕方では不足する。ルネサンスは少なくとも、10世紀、12世紀、15-16世紀の3回あり、有名なのはこの三番目だけだ。2016/07/19
antoinette
5
今年亡くなったル=ゴフ氏……長年積読していたのをやっと読了。インタビュー形式なので、思ったより一般向けでちょっと物足りない印象でした。ただル=ゴフのほかの著作や他の歴史学者の仕事、また社会学や宗教学など幅広くふれられていて、ガイドとしては良質かも(ただし網羅的ではない)。とりあえず「聖王ルイ」への興味が著しく増大した。……ところで、日本の高校世界史レベルの(旧い)「常識」と異なる言説が散見されるのは、格別驚くことでもないと思いますよ(笑)。むしろ高校のころこういう本を読んでいたかったなあ。2014/05/07
hajimemasite
3
個人的には、阿部謹也とジャック・ル・ゴフは中世史入門に最適な歴史家二人だと思っている。こちらはそのル・ゴフが中世について総括的に述べたもの、と思いきや、タイトルほど総括しているわけではなく、あくまでもいくつかの中世に関するお話がひとつの本に纏められているもの。面白いが、タイトルの話を想像すると面食らう。あくまでも、ジャック・ル・ゴフ好きのための本な感じ。もし中世とは何か知りたいのであれば、同著者の『中世西欧文明 』をおすすめする。2014/10/28
ひなた
2
★4 原題は「中世を探して」。フランス語では「失われた時を求めて」と同じ言い回しでプルーストへのオマージュになっている。そのタイトル通りこの本は中世を探し求めた著者へのロングインタビューをまとめたもの。著者の経歴や歴史へのアプローチ手法、中世の様々な側面からその本質を語ろうとする。中世は盲目的な信仰の中で停滞していたのではない。新しい物を嫌い古いものを貴ぶ時代であったため、改革ではなく再生という概念を愛した。中世は希望の時代だと言う。浅く広く語られるためその主張を完全に理解するのは難しいが入門書として良。2016/02/03