出版社内容情報
現在最も有名な近代画家、ゴッホ。生前不遇だった画家が、死後異常なまでに評価され、聖人のように崇められるようになったのは何故か?近現代における芸術家神話の典型を気鋭の芸術社会学者が鮮やかに分析する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
3
本書は美術書ではない。 作家に興味があるときは、本書のような資料がちょうどよい。 いろいろな文献のありかがわかったので、ゴッホについて調べたいことがあるのに役立つ。 感じたものを他人に伝える必要があるときに、文字を使う。 文字を使う時に、背景となる情報が役立つことがある。 2009/09/13
つっきー
2
「ゴッホは社会の無理解に晒された悲劇の人である」というイメージはどのようにして生まれたのか、ゴッホを賛美する行為の背景には何があるのか、「逸脱」「刷新」「和解」「巡礼」という聖人伝説の構造を参照しつつ、「罪悪感」からくる「償い」という概念を手がかりとして分析する。 このような芸術の擬似宗教化現象は非常に興味深いが、筆者が結論で述べているように、「芸術」を「宗教」として考えることは適切ではない。重要なのは、なぜ芸術家を聖人であるかのように賛美するのか、そこにある「聖性」とは何か、を明らかにすることである。2018/09/30