感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
勝浩1958
7
渡辺京二氏が石牟礼文学を論じたまともな文学評論はないという一言が印象的です。私は『苦海浄土』という作品が頭の片隅に微かに揺らめいていて、この年齢になって恥ずかしながら初めて読んで以来、すっかり女史の文章のもつ魅力の虜になりました。また、私にはこれからの生き方を考えさせて下さる大切な御人です。2014/08/14
マウンテンゴリラ
2
石牟礼道子氏の著作は、苦海浄土三部作と数編のエッセイを読んだだけであるが、その苦海浄土の、単なる公害問題の摘発というドキュメントとは異次元の深みと言い様のない悲しみの理由が、多くの論者によって説かれている。それだけでも、十分に読む価値があったと思われるが、題材としての水俣病の枠を越えて、近代というものを批判的に見直す契機として、たいへん素晴らしい評論集であると感じた。それは、氏が描く世界を通じて、近代的世界に生き、都会的な生活を享受しつつ、→(2)2015/01/10