感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
22
BS「昭和の選択」という番組で吉田茂の指示により外務省が満州事変から敗戦までの外交を検証した「日本外交の過誤」調書の存在を知りこの本にたどり着く。当時重要なポストに就いていた担当にインタビューを重ねて作成されたもので、その50年間後、秘密指定が解除され2003年4月公開となった。「軍部の暴走」の一言では済まされない、外交の過誤とは。現在からみたらターニングポイントと思われるときになぜその選択ができなかったのか。三国同盟を締結せず孤立無援を選択すればスペインのようにもなる可能性もあったことにも触れている。2015/12/20
マカロニ マカロン
17
個人の感想です:B+。読書会で紹介された本。2003年4月に公開された50年前の外務省極秘文書「日本外交の過誤」は悲劇の進行をとめられなかった日本外交の誤りを指摘していた。日ソ中立条約締結後。スターリンが駅に現れて、松岡洋右にハグをして言った「私はコーカサス生まれでアジア人、俺たちはアジア人だ」。戦争しか選択肢がないと主張し、希望的観測で行動する軍部を止められなかった外務省版『失敗の本質』。外務省は3つの誤った判断をして戦争圧力と外交交渉に失敗し、敗戦への道を敷いてしまった。愉快ではないが読み応えがあった2025/09/24
glaciers courtesy
9
外交版「失敗の本質」である。外務省員による開戦前、開戦後の外務省幹部へのインタビューだけが構成材料なので自己弁護も多分に交じっているし、それほど歯切れの良い解析になってはいないが、それはそれとして色々なことが見えて来る。当時の問題の第一は日本外交に一貫した理念がなかったことである。理念がないからこそ、軍をなだめるのに汲々として、譲歩し、いつの間にか開戦を避けられなくなってしまっていたということだろう。そう考えると現代でも「一帯一路」構想を打ち出している中国に、日本は既に外交で負けているのではないかと思う。2024/06/04
はる
2
欧米列強との強調という名の下での日本帝国主義の実益と利害を守るために、理念や信念を横においてきたからではなかったか。その結果、結局のところ、欧米の作った国際秩序の破壊をめざす方向へ動き、実益も利害も、そして名誉も威信も失うことになったのではないか。その根は、むしろ理念と信念の欠如にあった。理念に加えて、力の問題がある。力とは軍事力や経済力だけではない。自己の理念を国際的に実行せしめてゆく力である。それには、同じ理念を持つ人々との連帯、結合こそが肝腎である。 2020/06/21
鈴木 栄一
1
読んでよかった。特に重光葵の振り返りが良くて、複雑な状況への対応に誠実な対応をしていく日本の外交努力は尽くされたんだと戦前の外交を振り返ることができた。しかしそれでも、いやそんなアプローチだったから戦争は止められなかったことを我々は学ばなければならない。白洲次郎のジープウェイ、必要だったのはあちらの発想だったと確信した。2022/03/23
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- 洋書
- ROUGE-GORGE




