感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シン
11
★★★★☆2007/12/31
roughfractus02
8
原題はContre‐feux(1998)であり、自由という語の逆効果的ニュアンスがある。著者は新自由主義を経済面からではなく、経済的側面に人々を還元する全体主義的統治として検討する。投票によって選ばれない官僚主義(IMF、WTO等)と多国籍企業の少数の運用者によって制御されるこの政治形態は、既存の国家機能を外交と軍事へ縮小させる傾向を伴う。本書は、経済のランダムな動きに合わせた「不安定就労」が失業の不安から労働者に従順さを強い、弾力的搾取を加速させるとして、労働法や社会保障制度を守るよう労働者に訴える。2024/05/22
momonori
2
社会学者ブルデュー(一九三〇~二〇〇二)の晩年に説かれた、巨大な権力に対する抵抗言説である。現在、まさにブルデューの懸念どおりに進んでいると感じる。より膨れ上がった権力は、人々を飲みこみ、どうすることもできないところまできている。本書の原題《Contre-feux》(対抗火、向かい火)の意味から見ても、どうにかして圧倒的支配力をもつ巨大な権力の勢いに抗おうという気概を感じる。マネーパワーは政治・経済・文化のあらゆるヘゲモニーを握りつづけている。この状況が終わるまで、ブルデューの指摘は深い意味をもつだろう。2024/10/31
ぽん教授(非実在系)
2
ユートピアを持ち上げて国家を私物化する程度の俗人的権力者におもねるメディア知識人。社会主義大流行の時代からこの現象は変わらないという情けない現実。2016/01/13
a.k.a.Jay-V
1
初ブルデューです。政党に対抗するのではなく、研究者や活動家を結集させた集団的研究機構をつくる(大概)p98的はずれなコメンテーターなんかより、ずっとポジティブかと思う。オルタナティブとしても興味深いがフランスで現在、何処まで形になってるか?(本書は2000年発売)2016/01/22