内容説明
横光利一、金子光晴、吉行エイスケ、武田泰淳、堀田善衛など多くの日本人作家の創造の源泉となった“上海”を、文学作品から当時の旅行ガイドに至る厖大なテキストに跡付け、その多層的魅力を活き活きと再現する、時を超えた“モダン都市”案内。
目次
1 日本の言説空間における「上海」イメージの変容(アヘン戦争以後;日露戦争以後;五・三〇事件以後 ほか)
2 テクストの言語都市(村松梢風―「他者」と出会うための旅;井東憲―“朦朧都市”上海と“情報都市”上海のあわい;横光利一―交差する作家とジャーナリストの視線 ほか)
3 日本人の上海体験(上海に住んだ日本人;旅行者へのガイド;小説/詩/エッセイ ほか)
4 上海事典
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
10
太平洋戦争の終戦までに日本人が書き記した上海に関する文献資料を基に、その都市を再構築する試み。本書を紐解くだけで上海という場所が日本人にとって特別であり、かつ身近な異郷であったことがよくわかる。横光の存在が薄れるほどに多くの作家・知識人がその地で生活し、文章を残していたことが紹介される。オリエンタリズム的視点や、大東亜帝国の一部として強制的に日本にさせられたトポスであることを誇示する文章も多く残されている。その反動から戦後は批判的かつ郷愁を伴うものも多く書き記される。混沌とした上海を知ることのできる一冊。2013/05/28
小物堂社
0
歴史の連続性、在日外国人に対する認識、教科書には記載されない歴史。第四章から読んだ方がいいと思います。2012/04/17