内容説明
本書は「感性の歴史」のテーマのもとに、アナール派の三巨人の重要な作品を編集した初の成果である。「感性の歴史」とは、どのような問題意識のもとに、どのような方法をもって、どのような対象を扱いうるのか?この問いに本書は、第1部「感性の歴史の方法」第2部「感性の歴史の諸相」の構成によって答えようとする。フェーヴルによって夙に提唱されていたにもかかわらず、今コルバンによってようやく本格的な展開を見せはじめた「感性の歴史」。その「方法と対象」を示す、望まれながら今までなかった本書は、全体史としての歴史学に関心をもつ全ての人のためのものである。
目次
1 感性の歴史の方法(歴史学と心理学;感性と歴史;社会史と心性史;感性の歴史の系譜)
2 感性の歴史の諸相(魔術;「おおよそ」と「正確さ」という感性;恐怖;死 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三柴ゆよし
3
某教授から、君みたいな研究をしている者は読むべきだと勧められ、勧められるままに読んだ。感性というのは、文学や哲学、心理学の世界では重要な素材になりうるものだが、歴史学や民俗学のような特定の社会集団を対象とする分野においては、従来見過ごされがちであった。なんとなれば感性とは個人の内面に帰属するものと考えられてきたからで、それを社会集団へと逆照射することで、その時代や地域に特有の心性を描き出そうとしたところに、いわゆるアナール学派の功績がある。日本でも網野善彦や小松和彦なんかはかなり影響を受け(続く→)2011/01/18
cocomero
0
感性をめぐって歴史を記述することの意義を説く論考やインタビュー、さらには、その記述の実践例として、感性の歴史を著したとみなしうる書への評論などで構成されている。過去の時代における個人や集団の心理的な態度を浮かび上がらせることができればできるほど、それだけ一層豊かな内容を持つ物語として歴史がつむがれる可能性がある。むろんそれには、史料を丹念に読込み、当の心理的な態度が生成してくる背景や要因を予めしっかりと見極めておく必要がある。当時の状況を忠実に再構築せよということなのだが、膨大な量の作業を行う覚悟が必要!2020/01/11
-
- 和書
- 山野草 - カラー版
-
- 和書
- 新パパ、スカートはいてよ