目次
1 フチタンは女たちの町
2 市場はフチタンの心臓
3 祭りの経済、経済としての祭り
4 女としての生涯の節目
5 政治は男たちの仕事―COCEIと女たち
6 トルティージャづくりの女
7 タベルネラ
8 トウモロコシ=男と女の交換関係
9 エビ=ウアーベ族とサポテコ族の交換関係
10 伝統衣装と女の風格
11 ムシェは第三の性
12 女中心の社会における女の愛
13 男たちの経済の終焉に賛成する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご singoito2
12
読友さんきっかけ。安里英子「琉球弧の精神世界」は戦前のヤンバルの母系社会を古老に聞き書きした興味深い論文を載せているけれど、本書は1990年代にバリバリ現役で生き延びていて、それどころか一党独裁の中で、政治的にも気を吐いていた母系社会の町のお話。読みながら物質的豊かさの中で失われてしまった「生活の質」とは何かをフチタンの女性たちは教えてくれようとしているように感じました。挿入されている彼女ら、彼らの写真も魅力的なので、それを見るだけでも楽しいです。2024/11/22
うえ
6
母系制町の調査記録。「フチタンは人口十万にも満たない小さい町で、メキシコ南部オアハカ州の太平洋岸にある。…フチタンの市場で商品を売るのは女たちだけである。男たちは農民か漁師であるが、男はたとえば農産物、自分で育てたトウモロコシを女に渡す。…女はこのトウモロコシになんらかの付加価値をつけて、たとえばそれをトルティージャに焼いて売る。売った儲けは女のものだが、そのなかから男の生活の面倒は見なくてはならない…女は十五歳ともなれば一人前、商売を習い独立できる。ここで働く女は、職業と主婦を同時にこなす必要はない。」2024/11/12