内容説明
お姫さまがお気に入りの毬を池におとして泣いていると、カエルがやってきました。毬をとってきてくれたら、カエルを「相棒」にすると約束したお姫さまですが…。
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京生まれ。産経児童出版文化賞はじめ数々の児童文学の賞を受賞し、小説『号泣する準備はできていた』で第130回直木賞受賞
宇野亜喜良[ウノアキラ]
1934年名古屋生まれ。日宣美特選・会員賞はじめ受賞歴多数。1999年紫綬褒章受章。コクーン歌舞伎や演劇等のアート的な部分でも活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
66
この物語の出版物の中で一番お気に入りの本書。不機嫌な少女を最高にチャーミングに描く宇野さんと、端正でありながら淡く甘い江國さんの文章に導かれるかえるの王さまの世界は何度読んでも味わい深く、童話にありがちな強引な物語の幕切れさえねじ伏せる温かい広がりを感じて心地いい。短い絵本という制約された中で、いかに削ぎ落した文章で豊かに想像させるかということを鮮やかにやってのける江國さんの要約力と表現力の凄さを改めて体感できる。お姫様がお気に入りの鞠を落とす泉という(⇒)2023/01/09
ヒデミン@もも
39
宇野亜喜良さんの絵がぴったり。怪しいお姫様がなんともいえない。ちょっと笑ってしまう場面もあったけど。2017/12/10
らん
21
これは不穏な展開になるのではないかとドキドキしながら読みました。カエルとの約束を嫌がるお姫さまに向けた王様の言葉や人間性に安堵し、その後の展開に驚き、忠実な家来ハインリヒの喜びでの幕切れ。ああ、これは、ここに至るまでの過程やその後の王国での話を知りたいと思わずにはいられない。幸福の序章でお預けされたような気分に。小悪魔的なお姫さまだけに、この物語の先を想像するのも楽しい。宇野亜喜良さん描く美しい絵と細やかな色使いも魅力的でした。「困っているときに助けてくれた方をあとになってばかにするなどあってはならない」2023/04/06
ちはや@灯れ松明の火
17
優美だけれど影と毒を併せ持つ絵と流麗でありながらその視線は冷徹な文章、絡み合い描き出すのは幻想的でありつつも生々しいビターな恋物語。お日さまでさえ驚くほどの美しい姫君は他のグリムヒロインと異なりわがままで打算的なズルい女。そんな彼女の『相棒』になりたいカエルは野暮ったくもKYな直球勝負男子、一歩間違えればストーカー。当然姫は彼を邪険に扱う。この状況で恋が進展すんのかと思いきやカエルが実はイケメンお坊ちゃまと判明しハッピーエンド。こう書くとやな話だが、『相棒』の二人が幸せならそれで良しとしよう。2010/03/04
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
12
3年生ブックトーク授業【冬休みにおすすめの本】おはなしのたからばこシリーズから選書。グリムやアンデルセン、昔話、落語など。 池に毬を落としてしまった姫は、ある約束をしてカエルにとってもらう。約束を果たしてもらおうとお城にやってきたカエルに…。2021/12/17