内容説明
とつぜんの両親の死で、おさない妹と弟とはなれてくらすことになった7歳の少女ネリー。身をよせた先では、あたたかくむかえられ、週末にはきょうだい3人、いっしょに過ごしもする。悲しみは消えなくても、周囲のあたたかさにささえられて、ネリーの心はやがて…。
著者等紹介
ニース=マズール,コレット[ニースマズール,コレット][Nys‐Mazure,Colette]
1939年ベルギー生まれ。詩人、エッセイスト、短編小説家で、その作品は、ヨーロッパ各国や韓国など、多くの国で翻訳出版されている。以前は、ルーヴェン大学文学部で教えたり、創作グループを組織したりしていたが、現在は、全ての役職から退き、創作活動に専念している
メーンス,エステル[メーンス,エステル][Meens,Estelle]
1976年ベルギー生まれ。ベルギーのリエージュでイラストを学ぶ。その後、子どもの本の作家として活躍する傍ら、2006年より、タブロー画家としても活動中
柳田邦男[ヤナギダクニオ]
1936年生まれ。ノンフィクション作家。現代人の「いのちの危機」「心の危機」をテーマにドキュメントや評論を執筆する傍ら、心の再生のために「大人こそ絵本を」のキャンペーンを展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
124
時々、ピーターと一緒にお庭に行ってパパとママに挨拶するの。こんにちは。…みんなで過ごした日々はベッドに入るとなぜか浮かんでくるけれど、涙をしながらいつの間にか眠ってしまうの。悲しみは消えないものみたい。でも、忘れたくないから消えてほしくもないけれど。…水曜日にはアンナにも会えるわ。別れるときは寂しいけれど、また会えるから大丈夫。…パパやママのように、いつも笑顔でいたいの。わたし生きていくわ。わたしが大人になったら、沢山の子どもたちと、大きな窓のあるお家で夜を笑顔で楽しむの。みんなで星空を見上げていたいの。2021/05/23
テルテル
51
『突然の両親の死』一瞬にして3人の兄弟の心が地獄に堕ちていく姿が目に浮かぶ。周りの人は彼らを孤児と呼ぶ。彼らには心を落ち込ませる言葉。いじめを考える絵本『おおきなあな』の場面がうかぶ。彼らの心の『あな』を埋めたのは、彼らを引き取ったおばさん達の愛情。三人が会えるのは週に一度だけ。どこまでも悲しみを引きずりトラウマになるかもしれない。ただ、『お前は、もう私の子なのよ』というおばさんの言葉は『愛している』と変換できる。彼らを支え愛している人がいる限り、強く生きていける。同じ想いを誰にもさせたくない。 2015/05/08
けんとまん1007
36
かみさんが借りていたので読んでみた。柳田邦男さんの訳ということで、期待するところもあった。人は、いつ、どんな状況に置かれるかはわからない。過酷な状況の中でも、明日に向かって生きていく。もちろん、それには、周囲の環境が大きな影響を及ぼすことも容易に想像できる。しかし、あくまで、本人の思いがあってこそだと思う。表紙に描かれている子の眼差しが、明日への希望だ。2016/04/24
パフちゃん@かのん変更
30
突然の事故で両親を失い、兄弟3人ばらばらに親戚に引き取られた少女。とても悲しいが、兄弟には会えるし、週末にはおじいさんの家で3人お泊りできる。いじめられてもいない。友達もできた。それでも突然両親がいなくなった悲しみは決してなくなりはしない。周りの人間がいい人たちで良かった。辛いことも多いだろうけれど、頑張って生きていってほしい。2012/09/14
emi
29
わりと字の多い絵本ですが、中身はなかなかシリアス。でもそう受け取るのは案外大人だけかも。両親が死んでしまい、3人兄弟は別々の家に引き取られます。だからといってかわいそうと安易に同情するような絵本じゃありません。子どもたちはさみしいけれど、週に何度かは兄弟のいるそれぞれの家に泊まりにいったり、周りの大人も死んだ両親がどんな人たちだったのか教えていたり、新しいお友達も作れたり、環境の変化を受け入れて生きている様は、むしろ頭が下がるほど凛々しい。大切なのは明日。それを絵本の最後に感じ取れました。2014/10/31
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