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黄いろのトマト

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  • サイズ B5判/ページ数 46p/高さ 19X20cm
  • 商品コード 9784894192751
  • NDC分類 K913
  • Cコード C8793

内容説明

そしてまもなく実がついた。ところが五本のチェリーの中で、一本だけは奇体に黄いろなんだらう。そして大へん光るのだ。ギザギザの青黒い葉の間から、まばゆいくらゐ黄いろなトマトがのぞいてゐるのは立派だった。だからネリが云った。『にいさま、あのトマトどうしてあんなに光るんでせうね。』ペムペルは唇に指をあててしばらく考へてから答へてゐた。『黄金だよ。黄金だからあんなに光るんだ。』

著者等紹介

宮沢賢治[ミヤザワケンジ]
1896年、花巻に質屋の長男として生まれる。芸術(文学・音楽・美術・演劇)科学(地学・天文・気象・化学)農学・宗教・政治・語学・数学・教育とアラユルコトヲジブンヲカンジョウニ入ズニヨクミキキシワカろうとした詩人にして企画者。1933年、法華経信者として没

小林敏也[コバヤシトシヤ]
1945年、焼津にて生まれる。青梅にアナログスタジオ「山猫あとりゑ」を営む
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふう

5
「かあいそうなこと」とは何か、どうしてかわいそうなのか、などと謎解きスタンスで読むのは違う。かわいそうなんだ。話さなくなっちゃったんだ。語られることにひとつひとつ感情移入して、浸ることで味わえる世界。それを支えるのが小林さんの絵。ペムペルとネリに寄り添って、静かな世界に溶け込んだ。2016/06/07

kaya

4
独特の文章の作品は気になった部分だけでも、声に出して読むようにしている。言葉の響きのおもしろさが、黙読の時よりも明白になるから。賢治殿の作品は特にそう。こちらの作品も何度も繰り返される、『ペムペルはほんたうにいい子なんだけれどかあいさうなことをした。』という文が声に出して読むと本当に切なくて胸にじわじわ染み込んでくる。『ああかあいさうだよ。ほんたうにかあいさうだ。』2013/06/23

の く

3
大学の授業で視覚伝達デザインの先生が「宮沢賢治の書く文章は、抽象的ではないが完全に具体的でもなく、読む者に明確にビジュアルのイメージをさせるが、そのイメージは読む者によって全く違っている。絵本に向いている文章だ」というようなことを言っていたけど、確かにそうだと思う。小林氏の挿絵も同じ要素をもっていると思った。読んで観て、また読者が自分の頭の中でイメージを再構成する(想像力を養う)のにもってこいの本ではないかと。2013/10/20

井上岳一

0
小林敏也の挿画が凄くいい!パロル舎が潰れて絶版になってしまったけれど、これは本当におすすめ。トマト農家にお土産に持っていくために買ったのだけど、うっとりするほど素敵な絵本。2013/08/27

ひろちゃん

0
蜂の言うように、「かあいそう」な話であるけれど、大人の世界には良くあること。 ただ、子どもの世界には許容されない悲しみがある。 読む人の心持ちによって、かあいそうか否かが分かれるだろうな。2018/03/08

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