内容説明
高所恐怖症のために警察を辞めた男のもとへ、かつての友人から不可解な依頼が持ち込まれる。自殺願望のある自分の妻を監視してくれと…ヒッチコックを魅了したサスペンス小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
16
(辛口感想です)早川文庫の海外ミステリ・ベスト100の紹介でアルフレッド・ヒッチコックが映画化した「めまい」の原作である「死者の中から」の紹介があったので興味を持ち、読みました。戦後、アル中になりながらも弁護士活動を続けていたフラヴィエールは恋もしていたが高所恐怖症が基で救えなかった人妻、マドレーヌとそっくりの女を見つけるのですが光源氏の如く、自分のマドレーヌ像をルネに押し付けるフラヴィエールがひたすら、不愉快でした。ラストでひっくり返されるのですが結局、主人公への嫌悪感からインパクトが薄れてしまいました2012/09/16
bapaksejahtera
14
同著者の作品を原作とする映画「悪魔のような女」にヒッチコックが関心を示したため、映画化を目当てに本作が書かれた由。確かに「悪魔の」とは異なり、映画と原作は筋が同じだ。妻の精神と行動を危ぶむ夫からの要清で、探偵の主人公が追跡調査するうち、女はついに自殺してしまう。彼女が忘れられない主人公が後に酷似した女を発見する。不思議な事実の連続に、狂気に至る主人公の精神的転落と意外な種明かし。私は小説にトリックを期待しないので、さほどの佳作とは思えなかった。米国舞台ではあるが映画の方が狂気の演出に成功したように思える。2024/01/27
ソルト佐藤
10
映画は未視聴。これは面白い! 少ないキャラで進むのもよい(笑 第1部のちょっとおフランスなロマンス的になりつつも、生まれ変わりというった奇妙な不可思議な謎というかシチュエーションがいい。第2部は、さらなる生まれ変わりの女を見つける所なんて、主人公が幻想に囚われて徐々に正気を失われている狂気の物語でとても面白い! ……と、おもったら、ちゃんとしたらミステリーでした(笑 おフランスなロマンスや主人公の明らかにやべー狂気に当てられていました(笑 2023/01/14
ネムル
6
狂えるヒッチコックの不気味傑作の原作。強引なトリックを映画の中途であっさり明かして、そこからニューロティックの方向で宙吊りにするヒッチの天才っぷりに比べたら、トリックを最後まで引っ張りサプライズを仕掛けようとするボワナロは如何にも苦しい。しかし、溺愛するでも、教育するでもなく、相手の女性を亡きものへと改造しようとする(死者を蘇らそうとする)、その異形の恋愛を描いたのはボワナロの功績だろうな2013/09/11
I am
6
一気に読めた。装丁の橙が合ってない、冷たい内容。マドレーヌという名前が甘美だなぁ。。前半あらゆるシーンが大好き。ルネの安っぽい女っぷりも良かった。すこし物足りないけど、あとからじわじわくる系。2011/01/26