感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
125
フランスを代表する作家ミッシェル・トゥルニエの軽妙な短編集。神話をモチーフにしたものが多くて、短編ながらスケールの大きな物語ばかりだった。フランス人らしいエスプリと発想の冴えを堪能した。最初の3編が一番の好みだった。特に「音楽とダンスの伝説」は、音楽の歴史の始まりをユーモラスに説明して可笑しい。エデンの園で聞こえていたと言う天上の音楽を、我々はもう聞くことはできないのだろうか。2016/06/08
藤月はな(灯れ松明の火)
57
旧約聖書、新約聖書、ケルト神話などをモチーフにした軽妙なショートショート。「香りの伝説」、「音楽とダンスの伝説」は多分、子供の頃にも感じたであろう、失われてしまった自然や天からの「贈り物」を思うとちょっと、惜しいなと思うのは現金かな?「パンの伝説」は私もそのパンは大好き(*´∀`*)「ある木樵の伝説」は物悲しいと思ってしまう。「麦わらの上の赤ん坊」は恩師に手紙を書いてからのフランス大統領のスピーチに心が温まります。「立ったまま」では囚人さんたちの優しさにほっこり。2016/12/17
syaori
15
寓話的な小話を集めた作品集です。訳者の方があとがきで書いているようにトゥルニエのエッセンスを感じられたかどうかは分りませんが、それぞれ機知に富み、フランス的なエスプリも効いていて楽しめました。全体に優しい語り口なのでさらりと読んでしまえる印象です。角のある動物を追い出すお触れを出し、彼らと一緒に出て行こうとした野ウサギに「どうして出て行くのか」と尋ねたときの野ウサギの答えがふるっている「野ウサギと耳の伝説」、芸術についてちょっと考えさせられる「絵画の伝説」、「アンガス」などが好きでした。2016/02/02
ハルト
2
オチにぴりりとした皮肉のきいた小咄集。訳の文章が柔らかくて寓話的雰囲気があった。2011/02/04