内容説明
彗星に導かれてみたものは。アダム、キリスト誕生の秘密から最後の晩餐まで2000年前の『奇跡』をたどる。今を去ること二千年の昔、誕生したイエスを拝もうと、星に導かれて旅してきた三人の王様の、秘められたる物語。「新寓話派」の大作家トゥルニエが、奇想天外の手法で、聖書でおなじみの構図をあざやかに絵解きしてみせてくれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
38
『オリエントの星の物語』を作者本人が児童書として書いたものです。メルキオールのパートは省略されています。牛と驢馬のパートもありません。砂糖の王子タオールが印象に残ります。ただ、やはり大人版の方が圧倒的に面白いなと思います。あの細かく語るところが好きなのです。トゥルニエは自作を児童書に書くことを『フライデーあるいは〜』でも行っていますが、勝手な改変を許さないということでしょうか。タオールも聖人としてまつりあげるのではなく、こんなに面白い冒険をしたのだと物語の面白さを伝えたかったのではなかろうかと思いました。2024/06/06
宙太郎
0
はじめて白人を見たことで自分の黒い肌を疎ましく思うようになったガスパール,新しい芸術を追い求めるバルタザール,夢のような甘いお菓子の製法を求めて旅するタオール。それぞれが星に導かれてイエス・キリスト生誕の場へと向かう。そしてそれぞれに小さな奇跡が… 聖書に描かれたキリスト生誕の記述からトゥルニエが想像の翼を広げて書いた小さな奇跡の物語。クリスマスの季節にはこういう本を読むのもいい。3篇中最も地味だが,第二章が好き。ラスト近くの「どうしてもこうなってしまいます。」というアスールの言葉が実に印象的だった。2021/12/09