内容説明
外国の街並みや通りには、日本にはないものがたくさんある。映画では、スクリーンに何気なく映し出される家や窓、教会、田舎の風景などから、その国の独特の文化や歴史を感じることができる。しかも、その風景や事物は、監督の特別なこだわりのもとに繰り返し映し出されたり、ストーリーと絡んで重要な意味を担っていることが多い。作品の理解を深めるためにも、映画をよりいっそう楽しむためにも、そういった事物に関する知識を広めることは大切である。本書は、往年の作品はもちろん最近のものも含めて、イギリスを舞台にした30本の映画を取り上げ、その中の「異文化」について詳細な解説を試みたものである。著者自ら撮影した1万枚に及ぶ写真のうちから厳選した100葉あまりを添え、単なる言葉の説明だけでなく、ヴィジュアルな面からもアプローチができる。巻末には関連する英語表現も掲載している。
目次
1 『静かなる男』―巨大チェス盤をつくる「石垣」
2 『落ちた偶像』―「エアリア」と呼ぶ不思議なスペース
3 『ガス灯』―「テラス・ハウス」なればこその犯罪
4 『心の旅路』―「エンドウ豆のスープ」という合い言葉の謎
5 『ミニヴァー夫人』―「教会堂内」をひとわたり
6 『メリー・ポピンズ』―つらく悲しい身の上は「煙突掃除人」
7 『哀愁』―「カントリー・ハウス」は「田舎家」にあらず
8 『秘密の花園』―「マナー・ハウス」とはどんなもの?
9 『断崖』―ヒロインの住まいは「木骨造り」の家
10 『三十九夜』―「反り橋」のある風景
11 『赤い靴』―映画を演出するふたつの「窓」
12 『ロブ・ロイ』―タータン模様は「ハイランダー」の心意気