感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スミス市松
16
樹木を詩への小路を開く〈もう一人の自分〉、あるいは詩という観念として見るならば、不必要な枝を取り除き全体に樹液を行きわたらせ蘇らせる必要があると詩人は言った。そのために打ち落とされた枝=〈エモンド〉からなる断章・散文詩集。本書は三層で構成されており、冒頭の「断章の詩」はその名の通り最も普遍的で枯枝の性質――「文」としての硬度と直線性――をもつ断章からなる。詩から切り落とされた断章はアフォリズム的でありながらも「そのアイデンティティを永遠に求めつづけ、失ったものを模倣する」のであり、詩で思考することを促す。2021/02/26
きゅー
14
こんにち詩は終わっている。そして言葉は苦しんでいる。だから木が森を隠してしまわないように、木、すなわち詩の枝下ろし(エモンド)が必要だ。枝下ろしをして、樹液が再び木の全体に行き渡るようにしなければならない。モルポワは断章(枝下ろしされた枝)にこそ詩を蘇らせる力があるという。木そして森のイメージを駆使して、彼は詩の復権を夢見る。2020/05/08
ぞしま
14
そも詩情を持ちながら詩を見つめる(批評する)とは背反する行為なのだろうか……私にはまだ分からないが、分からないなりに感慨を述べると、詩論で謳うということは必然とも無理からぬ要請とも感ぜられる。醒めた感覚が詩全般を見つめ、それでも詩にすがると決意した時に吐き出された断章群は、個別おのおのの詩を射程し得るかというと甚だ心許ない。それでも断章を通じ詩に接近する在り方にはハイブリッドな感覚が伴う、何かここにはない違う視座が提供されるようでもある。詰まる所それが詩なのかどうかはどうでも良いのか……2017/09/18
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