内容説明
半世紀を経て、初めて明らかにされた一日本人医博の壮絶な生涯。陥落直前のベルリンを脱した一人の日本人留学生。最後の帰還船の乗客リストに名前を残したまま消息を絶った肥沼の足跡をたどったドキュメント。
目次
第1章 エスクレビオス(医術の神)の墓
第2章 ナチス政権下の「サムライ」宣言
第3章 黒マントの赤ひげ
第4章 数学の鬼
第5章 済生学舎出身医師の長男
第6章 ベルリンの恋
第7章 日独文化協会と肥沼
第8章 戦火を越えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Jiemon
4
ナチス・ドイツ敗戦後の1945年から1946年にかけてソ連軍占領下のポーランドに近いドイツのリーツェンで伝染病医療センターの責任者として、伝染病と闘い多くの人々を助け、ついには自らも発疹チフスにかかり亡くなった八王子市出身の肥沼信次博士の経歴と時代背景を纏めた書籍。戦後の東西冷戦の壁に阻まれ長い間旧東独で亡くなったこの医師の情報は隠蔽されていたが、ベルリンの壁が崩れその実態が明らかになった。と言っても亡くなってから何年も経っていたため全ての情報を得るのは難しかったが、後世に肥沼の活躍を伝える珠玉のルポ。2022/07/01