内容説明
自由と恣意とを何を基準にして弁別するかという、明確な基準の問題は重要である。そして、この基準が明確でないことが、自由と恣意との弁別を不明瞭にし、「自由」の名のもとに恣意がまかり通りという現実を生み出しているのではないか。一方、「平等」理念のもとに国家を運営していた共産圏諸国においては、「平等」という崇高な理想を掲げながら、その理念の真の成立根拠と本質が把捉できていないために、その「平等」理念を現実化する際に、どこかで誤りを犯しているのではないか。本書の主眼は、この二つの理念の成立根拠を人間存在の根底において探究するというものである。
目次
序 問題提起と探究の焦点
第1章 「自由」概念の意味の諸相
第2章 自由意志否定論に対する検討
第3章 自由の根源としての「いのち」
第4章 「いのち」の根源的、本来的な働きと愛
第5章 「平等」の人間論的根拠への探究
第6章 人間の本性から見た社会の本質
第7章 「平等」理念の成立根拠を視点とする歴史的現実の再検討
第8章 「自由」理念の成立根拠を視点とする歴史的現実の再検討
著者等紹介
宮地正卓[ミヤジマサタカ]
本名=正治(まさはる)。1928年奈良県天理市に生まれる。1959年京都大学文学部大学院(旧制)哲学科修了。現在神戸親和女子大学名誉教授。新産業人会議顧問。著書に『カント空間論の現代的考察』(北樹出版、1993)。『近・現代自由意志論小史』(近畿印刷工業出版部、1993)。『生き残れる組織 生き残る国』(共著、講談社、1998)
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