感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nightowl
2
恋人のラドカを父親に紹介するために来た息子。しかし段々不穏な雰囲気に「殺す勇気」ご近所夫婦を誘っての飲み会。悪酔いが酷くなり…「悪魔たち」久々に家族が揃ったが家庭崩壊の影が拭えない遣り取りに「ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる」二作目をエドワード・オールビー「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」と比べるとこの作家の特色が分かる。じめっとした(性的な問題を入れたがるので…)家族間会話の応酬。意思疎通の断絶ぶりが現実にあり得そうで恐ろしい。不条理劇を上演していた劇団で採り上げられたことに納得。2020/10/17
すむるとろん
0
訳者の富永さんは演劇畑の方で、実際に収録戯曲の上演もされ、当時高評価を得たそう。今後再演があるとしても東京かなあ。翻訳自体はちょっと疑問符がつくところも多いが、3作品いずれも私が好きな(笑)愛憎渦巻く室内劇。1作目は幕切れにかけて戦慄、2作目はやや難解なところもあるが、終盤の蝋燭の効果・幕切れは感興を誘う。3作目は母と娘の葛藤を扱っていることもあり、個人的には一番好き。人物たちの台詞が照応せずに会話が展開する箇所が頻出するが、劇作の特徴の一つなのか。感情の齟齬がよく表現されてぞっとするよう。上演を観たい!2014/04/18