感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
34
沙葉新・李守盛・姚明徳「もしもぼくが本物だったら」 この劇では、党幹部の特権とコネ・裏口の蔓延している中国社会が、戯画的に描かれている。 『水清ければ魚棲まず』という中国のことわざがあるが、もし、世の中に清廉潔白な人がいたなら、あるいは、清廉潔白に憧れる人がいたならば、その人の孤独は、たちまちにして峨眉山のように屹立するだろう。 シドニー・ルメット監督の映画「セルピコ」におけるセルピコの惨たらしいまでの孤立や、雪印牛肉偽装事件を内部告発した西宮冷蔵の蒙った徹底的な疎外など、こうした悲劇は枚挙に暇がない。2019/07/09