内容説明
同時代としての中国演劇。北京人民芸術劇院から生まれた新作群。痛みをリアルタイムに分かち持つ戯曲集。第2回湯浅芳子賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
6
3編の現代中国の戯曲を収録。私は高行健の「バス停」を読みたいと本書を手にとった。当の作品は「ゴドーを待ちながら」の影響を強く受けており、登場人物はひたすらバスを待ち続ける。特定の名前が与えられていない彼らは中国人一般を意味しており、体制を黙認し、自ら変化を起こそうとしない弱さが批判されている。彼の後の作品の主要なモチーフとなる多声的な演出がされており、その面では興味深い作品だった。また「沈黙の人」の存在が際立っており、彼は何も言わず一人で行動する。それは後に起こった天安門事件の無名の反逆者を彷彿とさせた。2013/09/16